音楽講師という仕事は一見華やかに見えますが、
水面下で、地味な作業をしていることが多いです。
レッスンの下準備に一番時間を費やします。
楽譜の用意、生徒さんのレッスン内容の確認、
自分の練習、楽器の手入れ、電話やメールでの連絡、
教材や教本の研究、同業の先生方との情報交換、
優れた演奏を聴き刺激を受けること…などなど。
でも、みんなと会う時に先生がいつも見せたいのは、
とびっきりの笑顔のみです♪
…さて今日の写真ですが、先生方はご存じでしょう。
この、黒く塗られたケンバンの存在を(^^)。
”エクステンドベース”と呼ばれる鍵盤です。
ベーゼンドルファーの”インペリアル (Inperial)”と呼ばれる、
最上級のフルコンサートグランドピアノ「モデル290」。
優れた職人たちが、一台に一年以上時間をかけて
手作りすることにこだわり続けている、ベーゼンドルフアー。
ベーゼンドルファーは、スタインウェイ、ベヒシュタインと共に
世界三大ピアノと呼ばれます。
この”インペリアル”は通常のピアノのケンバンより9鍵多く、
97鍵です。
ブゾーニがバッハのオルガン曲を編曲したとき、
低音部に標準のピアノでは出せない音があったため、
ルードヴィッヒ・ベーゼンドルファーに相談したことが
始まりと言われています。
低音をより重厚な響きにするために、作られました。
単独で使用されるためというより、補助的に響きを加えるのが目的です。
このエクステンドベースがあることで、中低音の響きが豊かになりました。
どうして黒く塗ってあるのかと言うと、奏者が混乱しないように
(目測を誤って、間違えて弾かないように)するためです。
昔は、この部分に黒いふたがついていたのだそうです。
以前、このエクステンドベースを使用する楽曲を調べてみました。
バルトーク ピアノ協奏曲第2番、第3番
ドビュッシー 「沈める寺」
リスト 「超絶技巧練習曲」第11曲”夕映えの調べ”
ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」~終曲”キエフの大門”
ラヴェル 「水の戯れ」 鏡~「道化師の朝の歌」
夜のガスパール~「スカルボ」
…など。
たいていはCDをちょっと聴いただけでは、
このエクステンドベースを使っているなんてわからないですよね!
でもそこには作曲家やピアニスト、そしてピアノ製作者の
”音”に対する深いこだわりを感じます。
私のしていることはこの黒い鍵盤のように目だたないかも知れません。
いや、この鍵盤ほどすごいことを成し遂げているわけではないと
思います。
でも、生徒のみなさんがいつも気持ちよく演奏に集中できるように、
いい響きが生み出すお手伝いができればいいな、と願っています。
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