1985年5月発売の2nd シングル。 

 

作詞:森雪之丞

作曲:玉置浩二

編曲:武部聡志

 

 

"スケバン刑事"で流れてた曲として有名だそうですが、僕の住んでいた県では放送されておらず、ベストテンで聴いたのが初めてだと思います。

 

何と言っても、あのマイナー調の曲が強烈に耳に残りまして、ラジオからカセットに録音した音がガッサガサの状態のを聴いてました。

 

歌のお話をちゃんと読み込んだのは何年も後なんですが、以前にご紹介しました"Soramimi"と同様に、

内向的アイドル少女の筆頭である由貴さんならではといっ感じのお話となっとります。

 

♪迷子の恋を 抱きしめて
    さまよい歩く 墨絵の街
    あなたと彼女 バスを待つ
    その時 街は 色をなくした
    最後の5が 押せなかったテレフォン
    燃える胸は 熱い痛みです

 

思いを寄せる彼に彼女がいた事をこの時初めて知ったのでしょうか。

それとも  噂は聞いてはいたけど 2人一緒にバスを待っているという決定的な場面を初めて目の当たりにしたのでしょうか。

 

途端に主人公の目の前の景色からは色が無くなり、文字通り"墨絵の町"のようにしか見えなくなってしまいます。

 

1度だけ思いを伝えようと受話器を手に取ったは良いけど、結局最後の「5」が押せずに伝えられないままでいます。

 

あの時自分に勇気が出せなかった後悔と

決定的場面を目にしてしまった事で

行き場を無くした思いは主人公の胸の中で

痛みすら感じる程にまで

燃え上がります。


♪※私 かなしい女の子ですか
    頬で 涙が雪になります
    自分勝手な 女の子ですか
    あなたが好きです※

 

こんな自分の姿は彼にはどう見えるのでしょうか

 

声に出す事無く心の中だけで彼にも自分にも問いかけます

♪ふたりを乗せた バスが行く
    あなたの部屋と逆の方へ
    初めて恋を 声にした
    その時風が 夢をちぎった
    ためらいばかりを 閉じこめたダイアリー
    にじむ涙 白い炎です


思いをつのらせる主人公は

具体的な行動に出ることが出来ないまま、彼が彼女と彼の部屋とは逆方向のバスに乗るという想定外の場面を目撃してしまいます。


どこに向かったのか検討もつかない…


その瞬間、胸の中だけに留まっていた思いが初めて主人公の口から言葉になって外に出てしまいます。


何と言ったのかは分かりませんが、気持ちが言葉になって声として出てしまったことで、主人公の中の何かが弾けます。


ただ彼はすでに彼女がいる訳ですから

どうする事も出来ません。

改めて  ずっと思いを寄せていたのに、行動を起こす勇気を出す事が出来ず、ただ思いを綴った日記帳のページだけが埋まっていきます。


激しい自己嫌悪と悔しさ、嫉妬…いろんな感情が容赦無く主人公を責め立て、流れ落ちる涙はゆらゆらと湯気が立ちそうです。


まるで揺れる心から上がる真っ白な炎のようです。


♪私 愚かな 女の子ですか
    ひとり芝居で 夜を旅した
    いつも無口な 女の子ですか
    あなたが好きです

 

誰かに相談したりする事も無く、思いを吐き出すのは日記帳だけ。

誰にも言ってない訳ですから、主人公が勝手に彼女といる彼を見てしまい、恋破れ、1人で涙を流してます。

もちろん胸の内と日記帳だけですから誰にも何も主人公は話してないんです。

誰も主人公の思いを知りません。


♪私 かなしい女の子ですか

    頬で涙が雪になります

    自分勝手な女の子ですか

    あなたが好きです


芽生えてから破れるまで、登場人物は主人公ひとりだけです。

伝えないし、動かないんだから叶うはずなんてないんです。


ただメラメラと燃えるような涙を流す程の強い思いは間違いなく本物。


それほどまでの思いに対しては誰も何も

とやかく言えませんよね…


森雪之丞さんは完全に由貴さんという人の立場に立って歌詞を書いてるんじゃないかっていう位、由貴さんにピッタリの歌詞だなぁと思います。


シリアスな感じで展開される玉置浩二さんの曲も、本当にマッチしてるし、由貴さんの主人公が乗りうつったような情感のこもった歌い方も良い!


You Tubeとかでも、歌番組で歌う由貴さんも見れますが、声にさらに目付きなんかが加わりますから迫力たっぷりです!


 

やっぱ名曲だよなー。


最後まで読んで頂きありがとうございました!