まいど~

絵本講師のくがやよいです。

 

 

 

 

3月になると今でも思い出す、朝の読み聞かせがあります。

3年前に書いた記事を再録します。

 

 

 

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今から5年前。

 

3学期のちょうど今頃、

荒れていた5年生のクラスで

絵本の読み聞かせを続けていました。

 

 

 

帰りの会で、クラスの子どもたち何人かが

臨時で来てくださっていた担任の先生に

ナイフのような言葉を投げつけ、

先生が泣いてしまった・・・・と聞きました。

 

 

 

私は 放課後、

先生のところに行きました。

 

 

 

先生は、静かに笑って

「大丈夫です。明日もまた行きます」

とおっしゃいました。

 

 

 

 

 

翌日。3月11日の朝。

 

 

 

 

教室で読み聞かせを始める前、

黒板に 

福島県の福島民友、福島民報と 

宮城県の河北新報と もう一紙、

黒地に白文字で大きく印刷された見出しの新聞記事を

何も言わずに4紙 貼りました。

 

 

 

東日本大震災発生当時、3・11のことを報じた新聞の一面でした。

 

 

 

黒地に白抜きの大きな見出しとすさまじい写真。

本当にあったこととして、新聞記事が迫ってきました。

 

 

 

 

 

 

 

ささくれたような子どもたちの心と、

昨日と変わらず教室に来られた先生の心に

 

悲しみに そっと寄り添うような

長倉洋海さんの写真と言葉のあたたかさが

静かに届くように

 

この絵本を 読みました。

 

 

 

 

 

『お~い、雲よ』 

長倉洋海 (岩崎書店)

 

 

 

 

 

空を見上げると、

まっ白な雲がゆうゆうと流れている。

 

雲は今日も生きているように流れていく。

 

ぼくが悲しいことをケロリとわすれ、

あかるい表情になるように、

あたらしい顔を見せてくれる。

 

 

雲は何も言わない。

 

 

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大きな自然の力で、

いろいろなものが壊され流された。

たくさんの命が空にかえっていった。

 

人はいつの時代も空に祈ってきた。

 

 

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山にかかる雲。

月にかかる雲。

子どものいる風景。

 

心があたたかくなる。

 

 

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雲を見ていると、

決して一人じゃないと思う。

 

 

水の一滴一滴が集まって

雲になるように、

たくさんの命が集まって

地球が息づいている。

 

 

 

まっ青な空にまっ白な雲。

 

心が吸いこまれていくようだ。

 

 

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青文字部分は本文からの引用です)

 

 

 

 

 

 

 

 

先生に許可をいただいて

その新聞を その日一日、

教室の後ろの黒板に貼っておきました。

 

 

 

 

 

その日読んだ一冊の絵本と

4紙の新聞記事が

どんな風に子どもたちの心に響いたかは分かりません。

 

 

 

 

 

 

今でも思い出す、5年前の

3月11日の朝の読み聞かせです。