まいど~ニコ
生きもの大好きドキドキ絵本講師の
くがやよいです。
 
 
 
 
 
「森の少年」
 
 
.....この写真のキャプションです。
 
 
毎月届く JAF Mate。
写真家の岩合光昭さんが写した動物たちが
毎号 表紙を飾ります。
 
 
添えられているキャプションも素敵だなぁ
といつも思いながら見ています。
 
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これはインドリ。
マダガスカル島の森にすんでいる
キツネザルの仲間です。
 
 
インドリを守るために伝承されている
こんなお話があるそうです。
 
 
昔、一人の少年が森に迷い込んでしまい
姿を変えてインドリになりました。
インドリの印象的な大きな鳴き声は
帰りたいと泣く少年の声。
だからインドリを殺さないで
というお話です。
 
 
仲間同士でいろいろな声で鳴き交わし
コミュニケーションを取るインドリ。
声を頼りに探しても
高い枝の上からお尻が見えるだけ。
 
 
岩合さん、やっとのことで斜面を登り
森を見渡せる場所に立つと、
珍しいのか 怖がることもなく
目の前にやってきたインドリを
写すことができたのだそうです。



この写真を見て、この絵本を思い出しました。
 
『ちいさなワオキツネザルのおはなし』
オフィーリア・レッドパス/作・絵
松波佐知子/訳
徳間書店 
 
 
 
インドリの仲間のワオキツネザルのお話。
最初見たとき、「えっ?」と思いました。
ワオキツネザルのしっぽの黒い輪っか、
こんなにたくさんない!(確か13本)
 
 
生きものが登場する絵本は
本来の生きものの姿(脚の数など)を
デフォルメしつつも正確に描く
という鉄則があるんですが、
 
そんなん無視してる絵本
いっぱいありますよね。。。
 
 
 
でも、この絵本は 読んでいるうちに
このしっぽの長さがいいなぁ~!と
思えてきました。
 
 
 
【内容は…】
 
ふるさとのマダガスカルで、わるものにつかまり
遠い北の街まで 船で連れてこられた
ちいさなワオキツネザル。
ある晩、檻のカギがあいていて一目散に逃げ出します。
 
 
街に出たワオキツネザルは
一軒の小さくてあたたかそうな家を見つけます。
部屋の中にはたくさんの植物が茂っていて
ふるさとのマダガスカルみたいです。
ちいさなワオキツネザルは
煙突からその家の中に入っていきます。
 
 
夜中、家の中が静かになると
そっと暖炉から出て食べものを探し、
好きなだけ食べたり飲んだりすると
ちょうどいい隠れ家を見つけて眠ってしまいます。
 
 
朝になり、家の住人ラルビーさんが起きてくると
たんぽぽのシロップはなくなってるし、
砂糖菓子は食べられてるし、
育てていたランの花はなくなってるし、
それらはぜんぶ娘のララのせいにされてしまいます。
 
 
夜、家の住人が眠りにつくと
ちいさなワオキツネザルは隠れ家から出ていって
いろんなものを興味深そうに触ってみます。
そして、ララの部屋に入っていき、
泣き疲れて眠っているララの頬っぺたを
やわらかいしましましっぽでぬぐいます。
 
 
その夜、ララが見た夢はとても素敵な夢だったんですよ。
 
 
翌朝、紅茶を飲もうとラルビー婦人が用意を始めると
そこには・・・・
 
 
 
 
 
ワオキツネザルが隠れ家にしていた場所は
どこだったと思いますか?
 
 
ラルビーさんが大切に育てていた
マダガスカル産のランの花と一緒に
丸まって眠っている
小さなワオキツネザルの姿は
ほんとうに、ほんとうに、愛おしくてたまりません。
 
 
とてつもなく素晴らしいファンタジーにふれると
しっぽの輪っかの数をちまちま数える自分が
なんてちっぽけ!って思えてしまいます。
 
 
そして、
ラルビーさん一家にあたたかく迎え入れられた
ちいさなワオキツネザルは
とってもすてきな名前をつけてもらったのです!
 
 
 
ふるさとの花を見つけて、もいじゃう寸前と思われる
裏表紙の絵。

 
 
個人的には、
ラルビーさんのすてきな職業が推測できる
家の中の細々したものや
 
 
何時間もかけてセットしたと思われる
ラルビーさん こだわりの髪の毛に
小さなワオキツネザルが
しっかり!つかまってるところや
 
 
ララに謝るラルビー婦人の
やさしい目尻のしわなどの
細かな書き込みがいいなぁと思いました。
 
 
 
 
あー、ひさびさに一冊の絵本を
じっくりと読み返しました。
 
 
 
この絵本が
どこかで誰かの光になるといいな、と思いながら。