まいど〜ニコ

絵本講師のくが やよいです

 

 

 

月に一度の絵本学講座で、日本と海外の絵本作家さんと

その作品について学んでいます。

 

 

私はどちらかというと、海外の翻訳絵本より日本の絵本が好きですニコ

 

 

なので、

海外の作家さんのことを知って、いろいろな作品に触れることができる

この講座はとても勉強になります。

 

 

 

初めの2年間は、日本の絵本作家さんとその作品について学び

3年目からは海外の女性作家さんの講義です。

 

4年目の今年は「アメリカを生きた女性絵本作家」。

9月は、バーバラ・クーニーの回でした。

 

 

『にぐるまひいて』、『満月をまって』、『おちびのネル』

『おおきななみ』、『小さなクリスマスツリー』、、、

私が知っているのは数冊だけですが

中でもこれはとても美しい絵本だと思います。

 

 

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『ルピナスさん -小さなおばあさんのお話ー』

バーバラ・クーニー/さく

かけがわやすこ/やく

ほるぷ出版

 

 

原書はこちら。

 

 

『Miss Rumphius』

Story and Pictures by Barbara Cooney

PUFFIN

 

 

 

ルピナス、とは、表紙に描かれている花のことです。

 

 

この絵本がいつ、うちにやってきたのかは忘れてしまったけど

青みがかった紫色の 澄んだ空気を感じるような

表紙の美しさに魅せられて手にしたことは間違いない・・・

 

 

 

【内容は・・・】

 

海をみおろす丘の上の

小さな家に住んでいるルピナスさんは

美しい花々に囲まれて暮らしています。

 

ルピナスさんは、小さなおばあさんですが

昔は、小さな少女でした。

そして、家の周りに咲く花々は

昔から咲いていたわけではありません。

 

少女だったルピナスさんは、おじいさんと ある約束をしました。

おじいさんはこんな風に言いました。

 

「世の中をもっと美しくするために、なにかしてもらいたいのだよ。」

 

そうして、時が来たとき、ルピナスさんはその約束に取りかかります。

 

 

 

 

確固たる信念を持ち、行動する一人の女性の人生の輝きを

ルピナスの花を通して、静かに、厳かに語りかけてくる絵本です。

 

 

 

思えば、お年寄りの施設で読み聞かせをしていたとき、

私は日本の昔話を、

相方さんはこの『ルピナスさん』を

初めての会で読んだのでした。

 

 

その女性もまた、心の中に揺るがない芯を持ち、行動する絵本講師さんでした。

 

 

 

 

 

絵本学講座の勉強会で共に学ぶ仲間がいます。

そのうちの何人かは絵本講師の先輩で、

その日、私は、ひとりの先輩の隣の席に座っていました。

 

 

そのひとが着ていたカーディガン、、、

 

 

白地に青い花が散ったようなその模様は

絵本の中で

ルピナスさんが横たわっているベッドの傍の

白い椅子にかかっている布と同じ模様でした。

 

 

 

 

そのひとは、ポケットに、庭で育てた花の種を入れて

ルピナスさんのように

出かけた先の土のあるところにその種を蒔いているそうです。

 

 

でも、よっぽど条件が揃わないと芽が出ないのよね、と話してくれました。

 

 

「…本物のルピナスさんがここにいる!」とその時思いました。

 

 

 

花の種をまくだけでなく、そのひとがしていることもまた

土のようにやわらかな子どもたちの心に

種をまく仕事だったから。

 

 

お日さまのような言葉をかけて、その心の種を育てる仕事。

 

 

そして、

ルピナスの花の種をまいて

社会を美しくしようとしたルピナスさんのように

 

子どもたちと絵本を読むことで よりよい社会になるように、、、

と信念を持って行動している

凛としたひと。

 

 

 

そんなルピナスさんのようなひとと

机を並べて勉強できることが

すごくすごく嬉しい。

 

 

 

そして、絵本の世界だけじゃなく

世界中に『ルピナスさん』みたいな人がいて、

いろんなところに いろんな種を蒔いているんじゃないかな。

 

 

 

講義の内容ももちろんよかったけれど、

そんなことを感じた9月の絵本学講座でした。

 

 

 

 

 

 

 

※NPO法人「絵本で子育て」センター発行の

『絵本フォーラム』2018年9月号、「絵本講師の発言席」に

そのひとが書いた記事が載っています。

 

 

 

 

 

 

 
 
Miss Rumphius Miss Rumphius
 
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