まいど^^

絵本講師の くが やよいです。

 

 

今日はラグビーカーニバルの

お手伝いに行ってきました。

(↓いろいろ焼くのはお父さんたち)

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(↑盛り付け&食べさせる(手渡す)のは母たち)

 

 

 

試合の後、

ラグビーパンツやスパイクが当たる抽選会で、

ワクワクしながら きちん。。。照れ

と座って待ってる高校生たちが

なんともかわいかったです^^

 

 

 

 

さて、

〝いつまで引っぱるねん!新解釈ももたろう〟

その④4ウインク!

 

 

 

ももたろうたちは、いよいよ鬼ヶ島へ向かいます。

 

 

 

鬼ヶ島へ向かうシーンでは
4人は粗末な船に乗り、
海は荒れ、空には暗雲が漂い、
これから何が起こるか分からない
ももたろうの不安な胸の内を

表しているかのようです。


でも、

4人の表情が素晴らしい!

皆、同じ方向を見つめています。

 

目指すものが一緒なんです。

 

ラグビーの試合と一緒です。
 


私には、
この絵本の絵を描かれた

赤羽末吉さんが思いを込めて

「がんばれよ!!」

と、4人の背中をおしているような気がします。

(ほかの絵本では、

4人の視点(見てるところ)がばらばらだったり、

微妙にずれていたり、

中には犬に舟をこがせて桃太郎が寝てる、
という絵本もありました)

 

 

 

 


このとき船上で前を見据えるももたろうが
表紙のももたろうです。

 

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真一文字に引き結んだ口元、

 

前方を見据える強いまなざし、

 

握りしめた拳から、ももたろうの

 

ものすごい決意が伝わってきます。

 


ぜったいに負けられない!!! 

 

 

このときの子どもたちです。

 

 

 

そして、

絵本の表紙は その物語の中で
一番いい場面、伝えたい場面が

描かれていることが多いです。

 

 

ひょっとしたら、赤羽さんも子どもたちに

 

「怯むな、挑んでいけ!

チャレンジャーたれ!!

 

と言っているのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

鬼ヶ島へ着くと4人の前に立ちはだかる鬼たち。

 

この、鬼たちの体格ハッ!!

 

 

強豪私学の〇〇学園とか

先日の対戦相手の

部員数が倍以上いてる神戸の××高校とか

胸板はぶ厚くて太もも太いし、体重何十キロ差!?

筋骨隆々、鍛えられていて、

ほんまに こんな体型!!

(こっちのフォワード陣も負けてへんけど!)

 

 

そして、鬼たちとの闘いが始まり、

4人は怯むことなく向かっていきます。

 

 

犬、猿、雉もみんなそれぞれのポジションで

自分たちのベストなパフォーマンスを見せます。

 

 

ラグビーの試合と一緒です。

 

 

 

ここでのももたろうの

「刀」の使い方を見てください!

 

もう、笑っちゃいます爆  笑!!

 

 

おにたちは、

 

「なに、ももたろうが なんだ」と

ばかにして、わりわりと かかってきました。

 

(ほんまにわりわりと かかってくるねんーもぐもぐ

相手チームのフォワード!!)

 

 

こっちの 四にんは、

にっぽんいちの きびだんごを 

どっさりたべてるもので、

なんびゃくにんりき。

おにどもを かたっぱしから 

やっつけてしまいました。

 

(・・・かなり苦戦しとったけどアセアセあせる

 

 

鬼たちが降参して、

 

「おわびのしるしに、

たからものは みな さしあげます」

 

と言って出してきた宝物をよく見ると、

打出の小槌や、極彩色の毛皮や

海の色の反物・・・・

 

 

これ、人間の持ち物じゃない。

人間から奪っていったものじゃない。

鬼たちの宝

 

 

ももたろうは、こう言います。

 

 

「たからものは いらん。

 

おひめさまを かえせ」

 

 

🍑

 

 

折口信夫さんの『古代研究』によると

日本の古代の信仰の方面では、

かみ(神)、おに(鬼)、たま(霊)、もの

この4つが代表的なもので

鬼は神に次ぐ重要な存在だったそうです。

 

そして、この絵本の文を書かれた松居直さんは、

鬼という存在をこう考えられていたそうです。


 

「鬼というのは、いわば異民族、異なった部族とでもいうべきもので、

時には人間と交渉を持ち、利害が一致することもあれば、

ときとして争い奪い合う場合もある。

その異質、固有の文化の象徴が「たからもの」で

宝物はおにの文化そのもの。

争いの結果としても、それを持って帰ることはできない。

 

戦争で命拾いした私には、宝物は取って帰れません。」

 

・・・・・・

 

 

戦いに勝ったから宝物をもらっていく、

ということは

「戦利品」ということです。

 

植民地政策で、どれだけその国に

恩恵を与えたつもりになっていたとしても

他の民族の持っている文化を壊したり奪ったり、

ましてや言葉を奪うことが

どれだけ非道いことか。

 

 

そして、奪われたら

それがたいせつなものであればあるほど

取り返しに行くのです。

 

 

春の新人戦でシード権を奪われた息子たちが

必死で取り返しに行ったように、

密かに力をつけて、奪い返しに行くのです。

 

 

その連鎖を断ち切ったももたろうは

見事です。

 


 

🍑 

 


 

 

帰りの海は凪の海。

なんと平和な海でしょう・・・

そして、よくよく見ると、桃太郎と3匹と

姫といっしょに鬼も船に乗っています。

 

 

それを見つけた子どもは、

「・・・えっ?なんで鬼も一緒に乗ってるん?」

と聞くかもしれません。

 

 

なんでだろうね・・・照れ

 

 

 

押し付けることはしませんが、私はこれは

鬼たちが ももたろうに敬意を表し、

鬼たちが持っている 最高級の船

(金ぴかで、しかも帆には桃印🍑)で

ももたろうと姫を送り届けているところ

だと思います。

 

 

 

闘った相手に敬意を表する。

 

ももたろうが鬼たちの宝ものを奪わなかったように。

 

 

試合の後、

相手と向き合い 礼をしたり、握手をしたり、

抱きあったりするNO SIDE(ノーサイド)

同じことだと思います。

 

 

 

4人は姫と一緒に

おじいさんとおばあさんのところへ

かえってゆきます。

 

 

この場面を読むと、「・・・宝物は?」と

1年生の子は言っていました。

どこかで宝物を奪ってくるももたろうのお話を

聞いたことがあるのかもしれません。

 

 

でも、

 

「宝物はなくてもええやん。

命が無事でよかったなぁ。」

 

と、

うちの末っ娘は言っていました。

 

 

 

読む対象が、幼い子どもではなく、

十代の子どもだということもあると思います。

 
 

大円団の最後の場面、高く両手を伸ばしてる

ももたろうとおじいさんとおばあさん。

 

「ももたろう、おばあさんとおじいさんと

勝利のハイタッチやなー」

 

と言ったら、

 

「いやぁ、ここはハグやろ。」

 

と 娘は言っていました。

 

 

 

そうでした、

私も 子どもたちも 試合の後

抱き合って 泣いたのでした。。。

 

 

 

🍑 

 

 


いつも大人の社交辞令はやめよう、

と思ってますが、今回の記事

「十代の青春と新解釈ももたろう」、、、

さすがに長かったですね~~(^_^;)



 

最後までお付き合いくださり

ありがとうございました。

 

 

 

 

🍑 

 

 

 

 

【おまけ】

裏表紙と表紙を広げてみると・・・

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3匹が ももたろうを応援していますよ~^^

 

 

 

 

 

 

 


※参考文献 『絵本をみる眼』 松居直/著 日本エディタースクール出版部 
(青文字部分は参考文献、または絵本本文からの引用です)