石油、ガス
エネルギーに関しては
任しといて的な商社
私は管理課、兼 窓口
もちろんお客様もお金を払いにやってくる
メインは受け付けではないから本日もカード処理に真面目に勤務していた
そこへ
おじいちゃんが長靴を履いて
やってきた
今日は雨は降っていない
このおじいちゃん
会社に何度もくる
痴呆らしい
奥様が亡くなられ
寂しいようで…
灯油の配達をお願いします
請求書は東京の娘へ
この言葉も今日で聞くのは3度め
おじいちゃんは
言ったんだ
嫁が死んだら
なにもかも自分でしなくちゃならんくて
でも、なんにも出来なくて…
おじいちゃんの目はウルウルしてるんだ
上司が言うには
東京の娘さんに家を売って北海道を出ておいでと言っても
おじいちゃんは奥さんと暮らした家を頑として出ないらしぃ
痴呆はどんどん進んでいるようだ
会社の人は
また来たのねぇと
困り顔
私はと言うと
おじいちゃんの
あのウルウルな悲しい顔が
ほんとに悲しくて
あやうく涙を流しそうに
なってしまった
おじいちゃん何回来ても
いいんだょ
何度でも注文を受け付けてあげるよ
この冬灯油が切れるなんて心配はないよ
うちの会社ちゃんとしてるから
いつも来るのは日が暮れそうな時刻
寂しくなる時刻
わたし知ってるんだ
ひとりぼっちの寂しさ
痛いくらいわかるから
だから大丈夫だょ
長生きして何回でも心配なら
来るといい
長靴履いてでもいいんだょ
夏になってもいいよ…
わたしあのおじいちゃんと
友達になりたい
少しでもその不安な孤独を
和らげてあげたい
明日も来るのかな
おじいちゃん
長靴履いたおじいちゃん