悪性の社会心理 | 認知症グループホーム管理者の独り言

認知症グループホーム管理者の独り言

自宅で認知症の母を10年間介護し、昨年看取りました。
プロとしては、介護の世界に飛び込んで13年が経過。
グループホームに転職10年目。
管理者としては7年目に突入!
転職検討中〜

昨年、会長令嬢と一緒に行った認知症ケアの研修で出てきた言葉。


『悪性の社会心理』



ある看護婦さんが、勤務先の病院で認知症高齢者のお世話をしたいと


自ら願い出て、認知症病棟へ異動になりました。


一番最初に先輩から教わったこと。


『体に傷をつけずにベッドに縛り付ける方法』・・・だったそうです。



「認知症病棟って、こんなことするんですか!?」


「私はこんなことがやりたくて、ここに来たわけじゃない!」


でも先輩やドクターからの指示があるので、やらざるを得ません。


そうこうしているうちに、あっという間に『縛り方』が上手くなり、


そして、それが『あたりまえ』の日課になりました。



気がつくと、後輩たちに一番最初に指導する内容が


『体に傷をつけずにベッドに縛り付ける方法』・・・になっていました。




どうなのかね?


俺らも初めて介護の現場に入った時・・・、


スピード重視で食事を利用者さんの口にねじ込んでいく先輩の姿。


入浴介助や、排泄ケアで拒否する利用者さんを、力ずくで平伏させる先輩の姿。


トランスの際に、ベッドや車椅子に放り投げるようにして移乗する先輩の姿。


「利用者さんの死」よりも、そっちのほうがよっぽどショッキングでしたね・・・。


それらが平然と行われているのに・・・誰も何も感じないのか?


ってね・・・、思いましたよ。


今でも、同じように思ってて、上からすれば痛いところを突いていくから


職場の中では「反乱分子」だわね。



俺は単に、人生の最終章を少しでも明るいものにしてあげたい・・・って、ただそう思ってるだけ。


本当は、自分の家で家族と過ごしたいって思ってても、諸々の事情で施設に


入らざるを得なくなった方・・・家族と同じというわけには行かないけれど、


少しでもその方の寂しさを埋めてあげたい。


重度障害で、痛かろう・苦しかろうという方のお悩みを、ちょっとだけでも緩和してあげたい。


それらが、俺様の自己満足にならないよう、そういう方たちの気持ちをできるだけ


汲み取って行動したい。


心の中では、同じように思ってても、組織の中の暗黙のルールで


そうできない職員だっていると思います。


あんまり一生懸命になって、バーンアウトする危険性だって孕んでいます。


俺だって、いつ燃え尽きちゃうかなんてわかんない・・・。



ま、今はひたすら我慢して自分自身の力を磨く時なんだろうけれども。


黙ってオムツ交換だけやってましょうかね~。