知的財産評価と知的財産情報からみた企業評価 -2ページ目

職務発明

 今回は、職務発明訴訟(特許権対価訴訟)について書いていきたいと思います。

 近年、職務発明訴訟(特許権対価訴訟)が増えてきたことは、皆さん新聞紙上でご存知かと思います。

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 最近の主な特許権対価訴訟は次の通り。

 ・2003年4月22日 オリンパス光学工業のビデオディスク関連特許訴訟で、最高裁が「発明社員は社内規定を超える対価を請求できる」と認める初判断。約230万円の支払いを命じた一、二審判決が確定

 ・04年1月29日 光ディスク関連技術の特許訴訟控訴審で、東京高裁が日立製作所に約1億6300万円の支払いを命令、日立側が上告

 ・30日 青色発光ダイオード特許訴訟で、東京地裁が中村修二・米大学教授の発明対価は約604億円と算定し、日亜化学工業に請求全額の200億円の支払いを命令、日亜側が控訴

 ・2月24日 味の素の人工甘味料特許訴訟で、東京地裁が約1億8900万円の支払い命令、味の素と元社員双方が控訴

 ・11月19日 和解金1億5000万円の支払いを条件に、人工甘味料特許訴訟が東京高裁で和解
  
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 特に味の素甘味料発明対価訴訟について見てみますと、 清涼飲料水などに広く使われる人工甘味料「アスパルテーム」の製造法を発明した味の素の元中央研究所プロセス開発研究所長、成瀬昌芳氏(63)が、会社に特許権譲渡の対価の一部として約6億9000万円の支払いを求め、味の素が和解金1億5000万円を支払うことを条件に、東京高裁で和解しています。

【味の素の人工甘味料特許訴訟の和解までの経緯】
 一審東京地裁は2月、発明で味の素が得た利益を約79億7000万円と算定。成瀬さんの貢献度は2・5%と評価し、受け取り済みの報償金を差し引いた約1億8900万円の支払いを味の素に命じた。

 味の素と成瀬さんの双方が控訴したが、東京高裁が10月「1億5000万円を支払う」とする和解案を提示したのを受け、4回の協議を重ねていた。

 和解の理由について、成瀬さん側の弁護士は「味の素の主張よりも貢献度が認められ、大きな成果があったほか、健康上の不安から訴訟の継続が難しいため」と説明。味の素は「一審判決で主張がほぼ認められているほか、同種訴訟では控訴審で減額された例がないため」としている。

 成瀬さんは1982年、良質なアスパルテームの効率的な製造法を同僚と発明。味の素は2001年までに成瀬さんらに報償金計1200万円を支給し、成瀬さんがうち1000万円を受け取った。

 アスパルテームは砂糖の約200倍の甘みがある低カロリー甘味料で、味の素は「パルスイート」の商品名で小売りしたり、他メーカーとのライセンス契約などで高収益を上げている。
 特許権対価をめぐる大型訴訟で和解は初めてで、特許権訴訟で確定した支払額としては過去最高となっています。

(日本経済新聞2004/11/20)



 今年1月には青色発光ダイオード(LED)の特許権対価をめぐる訴訟の判決で、東京地裁が会社側に200億円の支払いを命じており(会社側が控訴)、社員の発明に対する企業側の対応に大きな影響を与えそうです。




特許審査、8割を民間委託へ

特許審査、8割を民間委託へ
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041124-00000015-san-bus_all

特許審査を8割も外部委託にするのはどうかなあと思います。
審査は非常に重要な部門なんですが・・・

【参考】
特許権を取るための手続
 http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_gaiyou/tokkyo1.htm

国内初の知財信託

 住友信託銀行が国内初の知財信託を開始しました。(日本経済新聞11月24日朝刊一面)
 http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20041124AT1F2300H23112004.html

 東証マザーズ上場の映画製作・配給会社アーティストハウスとの契約ということで、映像資産を住友信託に預ける見返りに、ソフト販売からあがる収益を受け取る権利(受益権)を得る仕組みとのことです。

 早速改正信託業法に向けて、住友信託が始めました。
 私の得意分野が工業所有権なので、若干分野は違いますが、知財信託が進むことは業界全体としても喜ばしいことだと感じます。

 コンテンツビジネス市場は11兆円超の規模で、非常に有望な市場といえるのですが、一方で業界内では資金調達手法が限定されており、資金の循環がうまくいっていませんでした。
 今後、この信託を活用するコンテンツビジネス系の企業が注目されるでしょう。

 また、今後工業所有権等の特許にも信託が活用されるとなると、財務内容の悪化する製造業では知財を信託化することで、資産から切り離され総資産が圧縮され、財務内容が改善されるでしょう。
 
 
 知財価値の見極めが重要で、特に工業所有権等の特許は価値判断が困難であるため、その点が課題であると思われます。

 

特許訴訟

 今回は特許訴訟について書いていきたいと思います。

 近年、最先端技術の特許を侵害されたとして、日本の大手電機メーカーが相次いで外国企業を訴えています。
 直近では、松下電器産業が薄型テレビ技術で韓国LG電子を訴えたのに続き、東芝が韓国の半導体大手ハイニックスを相手取り、半導体技術で訴訟を起こしています。                                       -------------------------------------------------------------
【東芝→ハイニックス(韓)】

 東芝は96年に今回提訴したハイニックスと、訴訟の対象となったNAND型フラッシュメモリー(電気的に一括消去・再書き込み可能なメモリー)などの半導体技術でクロスライセンス契約を結んだ。しかし02年、ハイニックスが契約更新に応じず、契約は終結。東芝はその後の交渉でも進展がないことに業を煮やし、法廷に持ち込んだ。
 東芝は80年代から研究を手がけてきたNAND型のさきがけ的存在。関連特許を1千件以上押さえる。ハイニックスが東芝の特許に抵触せずにNAND型製品を作るのは難しいとみられ、東芝には訴訟を起こすことで再び有利なクロスライセンス契約にこぎつける狙いがある。

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 東芝は一時は世界シェアNO.1であったDRAM〔記憶保持動作が必要な随時読み出し書き込みメモリー〕において痛い失敗(日本メーカーはDRAMにおいて、一時代を築き、優位に立っていたが、90年代に韓国や台湾メーカーが巨額の設備投資をして量産化を進め、価格競争を展開したため、日本メーカーは脱落となり、東芝も02年に撤退した)を経ており、こうした経験を踏まえて知的財産戦略の強化を進め、今回の訴訟も知的財産戦略の一環といえるでしょう。


 現在、日本メーカーは事業化に際して、核となる知的財産を自社で押さえているかどうかを判断基準にする傾向を強めています。

〔東芝〕
・「企業収益の要として知財戦略を推進する」を掲げる
・東芝の特許部隊は約200人。日本で年3,000件、米国で年1,000件の特許を取得する計画

〔松下電器産業〕
・「知財立社」を掲げる


 また、各社が積極的に法的措置に打って出る背景には、「知的財産立国」を掲げた法制度の充実もあるでしょう。

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【最近の特許訴訟】

02年4月 
企業名→相手企業   東芝→サムスン電子(韓) 
対象となる技術     フラッシュメモリー

04年2月 
企業名→相手企業   ルネサステクノロジ→南亜科技(台)   
対象となる技術     DRAM

04年3月 
企業名→相手企業   ソニー→イーストマン・コダック(米)
対象となる技術     デジタルカメラ

04年4月 
企業名→相手企業   富士通→サムスンSDI(韓) 
対象となる技術     プラズマパネル

04年6月
企業名→相手企業   シャープ→東元電機(台)  
対象となる技術     液晶テレビ

04年11月
企業名→相手企業   松下電器産業→LG電子(韓) 
対象となる技術     プラズマパネル

04年11月
企業名→相手企業   東芝→ハイニックス(韓)  
対象となる技術     フラッシュメモリー

信託業法の改正について

 今回は「信託業法の改正」について書いていきたいと思います。

 信託業法改正案はついに11月16日の衆院本会議で全会一致で可決となり、参院に送付となりました。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041116-00000764-jij-pol

 信託業法の抜本的な改正はなんと約80年ぶりとのことで、大改正とも言われております。

 今回の信託業法改正案のポイントは以下の2点です。

 1つめは信託業の担い手の拡大です。
 今まで信託業の担い手は金融機関に限り認められていましたが、本改正で金融機関以外の一般の事業会社にも信託業が解禁され、信託会社の設立が可能となります。
 また「信託契約代理店制度の創設」「信託受益権販売業者制度の創設」も改正案に盛り込まれ、登録制ではありますが、一般の事業会社あるいは個人にも、信託契約代理店が認められることとなり、多くの会社が信託商品を取り扱うことになると考えられます。

 2つめは、信託できる財産の範囲の拡大です。
 今まで信託できる財産は金銭、金銭債権、有価証券、土地などに限定されていましたが、本改正では、知的財産権を含む財産権一般を信託できるようになります。
 例えば、著作権や特許権などの知的財産権なども信託できるようになります。
 これらの権利を信託し、それが生み出す利益を小口化することによって金融商品を開発し、資金調達や運用の商品とすることも可能となります。

 特に信託できる財産の範囲の拡大については、知的財産権に関しての注目度の高さが窺え、官民一体で知的財産権ビジネスの強化を進めていると認識できます。

 これからは、知的財産権の活用手段の範囲がさらに広がることが予想されます。