忘れ難い将棋を指した日 | 巡礼者のブログ

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主治医の時間。施設の日。

ちょっとヘンな体調?体感?があって、なんとなく落ち着かない日。気圧の変化が激しいだけなのかもしれないし、オレが更年期?なのかもしれない。しかし、男の更年期という病名?は、古いものではないし、例によって、厚労省のでっち上げ病名なのかもしれない。

区の年に一度の検診も、いきなりガン健診、しかも有料なのが、いろんなガンを網羅していて、厚労省も区も、ガン利権がらみで、お仕事ご熱心なのだろう。主治医も、その書類の話に驚いていたが、まあ、ガン利権のガン健診なんて受けるもんではないと思う。

まあ、それは洗脳の話なので、おいておくとして、きょうは、ちょっと感動したのが、施設のスタッフさんとの二枚落ちの稽古である。

スタッフさん、ちょっと、ある事情で、落ち込んでいたのだが、指しましょうと仰るので、彼女の話を聴きながら、飛車角落ちの定跡を一通りなぞった。

定跡といっても、詰みまで書いてある手順もあるが、途中まで書いてあって、「これにて下手必勝」の一言で止まっている手順の方が遥かに多い訳である。

実は、これにて下手必勝、の後の手順というのが大変なのである。確かに、上手からすると、下手必勝、なのだが、それを正しく指す、というか、悪手なしで指し続けられるか?というのが、下手の大変なところなのである。

彼女は、相当に落ち込んでいたのに、好手連発である。オレもヒントや考え方を伝えるのだが、圧倒的にして、華麗な手順で勝ち切った。言い方を変えれば、手筋の使い方が全うで、定跡のエキスから、彼女が将棋の感じ方、考え方を理解しているのは明らかだった。

調子の悪い時ほど、集中して、目の前のことが出来る、という話は、結構、いろいろな人から聴く話ではあるが、きょうの彼女の将棋は、見事だった。

これなら、二枚落ちで、プロにも勝てます、と太鼓判を押した。

落ち込んでいる事を、オレはどうする事も出来ないが、こういう将棋を指せたことが、彼女には力になったのかもしれない。笑顔が戻っていた。

人間、何が助けになるのか、何がお役に立つのか分からないものであるが、彼女は、自分で自分を救ったのだと思う。その事が、オレには、感動があった。

オレにとっても、忘れ難い一局であった。

自分が勝つことよりも、相手が成長して、確実に強くなっている事を目撃することの方が、喜びである。

人間は成長する。その瞬間に立ち合えたことは、オレが彼女から教えられた事である。