手術当日。






朝の検温で、なぜか発熱…


それによって

手術前に検査が入り

手術室入室も遅れてしまった。






手術室のあるフロアに降りた瞬間

強い消毒のにおいを感じた。


そのにおいのせいで余計に不安が募る…






予定より30分遅れの午前10時に

娘は手術室へ入っていった。


ICUの看護師さんに呼ばれ

このあとの流れについての説明を受ける。


手術終了後、眠っている状態だけれど

ICUで娘の顔を見られる、と。


手術にかかる時間は、8〜9時間。


緊急連絡用のPHSを持たされ

院内で待機しておくよう指示があった。

 

そうは言っても

長時間待っていられるような場所は

ロビーのソファか

院内コンビニのイートインスペースか

手術室フロアのソファぐらいしかない。


ロビーもイートインスペースも

いつも混雑していて落ち着かない。


コロナが恐ろしく

人の多い場所はできるだけ避けたい。


手術が終わるまで

このままここで待とうと

夫と意見が一致した。






手術室とICUのあるフロアには

ソファが並んでいる。


フロア表を見ると

手術室が10室以上はあるのに

ソファで待っている家族はゼロ…


静かで落ち着いている空間で

手術が終わる時を待つ。






お昼頃になると

朝から手術を受けていただろう患者さんが

ぱらぱらと手術室から出てきて

病棟へ帰っていく。


唸っている患者さんもいた。


痛いのか

気分が悪いのか

普段聞くことのないような声。


娘も目が覚めたら

あんな状態になってしまうのか…


不安になってしまった。






手術を待っている間は

落ち着いてじっと座っていることが

どうしてもできなかった。


長い廊下の端から端までをゆっくりと歩き

窓から外の様子を眺める。






朝、院内のコンビニで目に止まった

パズル雑誌を購入していた。


廊下を歩き終えて、ソファに座ると

パズル雑誌を開いて少し手をつける。


しばらくすると、また立ち上がり

廊下を歩きはじめる…


夕方まで、ひたすら繰り返していた。


気持ちが落ち着かなくて仕方なかったから…






待ち時間は長かったはずなのに

時間の進みは意外と早かったように感じた。






19時が近くなった頃

連絡用のPHSが鳴り、手術終了が告げられた。






やっと娘の顔が見られる。


ホッとした…