造影CT検査当日は、朝食抜き。


検査は11時過ぎから。






副作用が心配で心配で堪らないけれど

一番不安を感じているだろう娘の前では

そんなそぶりは見せられない…






たわいもない話をして、娘を検査室に送り出す。


検査室前の廊下で待っている時間は

とても長く感じた。


時間潰しに持参していた本も、スマホさえも

とても開く気になれない。


ただただ落ち着かない不安な時間。


廊下にかすかに漏れてくるマイク越しの話し声で

検査室内の様子がなんとなく分かる。


しばらくすると

『今から造影剤入れていきますねー』の声。


この言葉を聞いて、一気に緊張が走る。


どうか副作用が出ませんように…

何事もありませんように…






数分経っても検査室内は静かなままで

慌ただしさは感じられない。


きっと副作用は出なかったんだ、と

自分の気持ちを落ち着けていた。






どれくらい経っただろうか…


検査室のドアが開いたと同時に

笑顔の娘が出てきた。


張り詰めていた気持ちが一気に緩む。


良かった…

本当に良かった。






ただ…

娘が出てきたドアがゆっくりと閉まるまでの間に

検査室の中から漏れ聞こえてきた会話。


『単冠動脈が…』


そこまでしか聞き取れなかったけれど

あぁ…

きっと何かが見つかったんだな…

と感じられる、それはそれは興奮気味で

大きな話し声だった。






気になりつつも

検査が無事に終わった安心感から

そこまで深く考えることもなく

会計を済ませて、病院を後にした。