「トランプ警護のシークレット・サービスに女性警護官が増えていた訳」
私は拙著『「アメリカ」の終わり』で、映画監督で著作家のクリストファー・ルーフォを紹介した。
彼は、今回のトランプ大統領の暗殺未遂を、「現在アメリカのDEI (多様性・公平性・包括性)カルチャーは、シークレット・サービスという大統領を警護する最も重要な仕事も弱体化させている」と分析している。
彼の指摘は「なぜ大統領を警護するシークレット・サービスに女性が数多くいたのか?」というシンプルな疑問だ。
私も実は同じように考えていたからだ。
以下、簡単に要約した。
「シークレット・サービスの失態」
FBIは、ドナルド・トランプ前大統領に向けライフルの複数回銃撃を行った容疑者は、トーマス・マシュー・クルックスと特定した。弾丸はトランプの耳に当たりほんの数インチ近ければ即死であった。
この暗殺未遂は米国の歴史的な汚点として長く記憶されるだろう。
すでに数多くのコメントが各界からでており、調査は進み政府は改良を発表している。
しかし、その中で語られていない重要な点がいくつかある。
それは前大統領を警護するシークレット・サービスの何人もが女性だったことだ。
ビデオの記録でも明らかだが、何名もの女性警護官は明らかに十分な仕事ができていなかった。
シーン1
トランプ前大統領は被弾する直前に頭を少し傾けている。これによって頭部への直撃を免れている。
その後、複数のシークレット・サービス警護官たちは大統領を取り囲み、彼らの体で次への銃撃から守る体制をとっている。
一人の女性警護官は勇敢にもステージの上にすぐ飛び乗った。彼女は疑いなく警護官のもっとも重要な自らの体を盾にして警護する人間を守るという基本を行なっていた。だが問題は、この女性警護官はトランプ前大統領よりはるかに背が低かったことだ。彼女は大統領の前で自らの体を盾に防ごうとしているが大統領の頭と首が晒されている状態だった。
シーン2
大統領が狙撃の後、車の中に入る直前に一人の女性警護官は自分の銃を落として自分のホルスターを見つけることができなかった。
別の女性警護官は明らかに混乱していて、自分の両手でサングラスを治していた。3番目の女性警護官は恐怖に怯えているようで呆然としていた。
警護官たちはシークレット・サービスの制服である白シャツと金のピンの付いた黒のブレーザーと防弾チョッキを着用していた。だが、これらの女性警護官たちは明らかに他の男性警護官たちと同じような力強い自信と雰囲気を見せていなかった。
明白な質問は、なぜこれほど多くの女性警護官が配置されていたのかだ。
これは現在他の多くの米国政府機関で同様に起きているDEI(多様性、公平性、包括性)政策によるものだ。
シークレット・サービスの局長を務めるキンバリー・チーテルは2022年バイデン大統領により任命された。
彼女はシークレット・サービスでも”多様性”が最も重要な優先順位であるとし、急速に女性警護官の数を増やすと発表し実行してきた。
これはシークレット・サービスの公式な見解として発表されている。
彼らは”女性警護官の採用を優先させる”ため、女性、LGBT、ネイティブ・アメリカン始め他の少数グループの人を採用する”アファーマティブ・アクション”(人種・性別・少数者優遇)政策をとってきた。
チーテルは、CBSニュースに対して、2030年までに警護官の30%を女性にするというゴールを語っている。
彼女は「我々はなるだけ多様性のある人々、特に女性に我々の職場を解放し大勢の人々に機会を与えたい」と語った。
2021年は初めてシークレット・サービスの訓練校で女性の訓練生の数が男性を上回った。
だが平たく結論から言おう。
大統領の命を守るシークレット・サービスが女性である必要はまるでない。
シークレット・サービスとは数多くの候補者の中から選ばれ、大統領を守るという任務だけを持つ少数のエリート集団だ。
それに最も相応しい候補者とは、最も体力的に優れ、最も迅速に体を動かせ、最も優れた射撃技術を持つ者が選ばれるものだ。
そしてそれは男性だ。それは否定しようのない現実だ。
これは男性女性の身体的、生物学的違いの事実という点で明らかなことだ。
全てのナイトクラブのオーナーたちは、バウンサー(クラブの入り口に立つ用心棒)は、190センチ、体重100キロの男性の方が、体の小さな女性より警備上有効であることを知っている。
これらオーナーたちは、体のサイズと強さが店の中の争いを収め、喧嘩を抑止できることをよく知っているのだ。
店内で喧嘩が始まった時に、誰が店のルールを守らせることができるかを知っている。もし間違った人間をバウンサーとして採用していた場合は店が収益を失うのを知っているのだ。
しかし、なぜアメリカのシークレット・サービスはこの最も基本的な原則を忘れたのか?
なぜならば、これら巨大な官僚機構を支配する者たちは、自分たちは重要な間違いさえ無視できると傲慢にも考えてきたのだ。
大会社のディレクターや特に政府機関のトップの人間たちは空虚な政策を行いDEI税金を国民に支払わせることを躊躇しない。
キンバリー・チーテルはシークレット・サービスのディレクターの前ペプシコの代表を務めていた人間だ。彼女は、現在の環境でどうやったら自分が出世できるかをよく知っている人間だ。つまり”多様性”を声高にうたうことが自分のキャリアに有利になることを知っているのだ。イデオロギーの基準で人の採用を進めることで、採用される人材の価値をおとしても良いと考えているのだ。そして、残りの能力のある男性警護官が核になり仕事をしてくれればそれで良いと考えている。
明白にしておきたいが。
私はなにもDEI政策がペンシルベニア州バトラーで起きた警護の失点だと議論するつもりはない。
この問題の結論を出すには早すぎるし時間がかかるだろう。
しかし、ほんのわずかの差で暗殺者の銃弾はワキにそれた。これは秒コンマ何分の一の違いが大統領の生死を分けたということだ。
身体的強さ、プレッシャーの中で冷静さを保つことは大統領を守ることで最も重要な要素だ。
なぜならば、このたった瞬間の一インチの違いで生死が分けられたからだ。
我々が土曜日に見たものは”幸運”だった。
それは良い仕事の結果などではまるでない。