「真実」

彼は陰謀論者だった。

会って話すと、いつも日本がいかに衰退してるかを僕に解いた。主に以下のような話である。

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戦争は武器商人により起こされる。

銀行は信用創造でありお金は実体がない。

病気は作られ医療費をぼったくられる。

フリーエネルギーは常に潰されている。

300年維持できる住宅を30年で朽ちさせる。

一流大学ほど洗脳教育を行なっている。

農業技術独占により生命を脅かしている。

メディアは大事なことは伏せ無駄なことを報じる。

アメリカとイスラエルは中国と北朝鮮の脅威を煽っている。

景気変動を意図的に起こし富を収奪する。

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当時は俄かに信じ難いこともあったが、今思えば、何一つ間違ってはいなかった。

その彼は、今から9年前に自宅で亡くなった。山梨県北杜市の小さなアパートで、彼の遺体を発見したのはパートナーだった。

何があったのか。思い過ごしかもしれないが、真実を告発するのはそれほど危険なことなのかとすら、当時は思った。

多くの企業と接する仕事をされていた彼は、それらの企業を通して社会の「真実」に気づいていた。

ある時から、その「真実」を表に出そうと試みていたのだろう。

…真実。

真実?真実とはなんなのだろうか。

真実、真実と叫ぶ人ほど信用できないと言う面もある。

真実というのは多面的である。一つの事象があり、それを立場の違う人が見ると、違う側面が見えて来る。

真実だと叫ぶ人は、自分の面から見た事象のみを信じてしまうということでもある。

喧嘩がそうだ。喧嘩というのは、どちらも自分に理があると思うから起きる。どちらから見ても真実なのである。だから、厄介なのだ。

もう一度、先の陰謀論を別の面から見てみる。

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戦争で多くの人が犠牲にならないよう武器商人は武器を用意する。

銀行は企業を発展させ暮らしを豊かにするために借金を請け負う。

病気に苦しむ人たちを救うために医療が整う。

既存のエネルギー企業の家族を守るためにフリーエネルギーは必要ない。

300年も住宅が維持できると多くの工務店が失業する。

一流大学は間違ったことは絶対に学ばせてはならない。

農業技術を革新させなければ多くの人が餓死する。

メディアは視聴者が求める情報を提供するのが使命である。

アメリカとイスラエルは中国と北朝鮮からの脅威を抑える役割がある。

景気変動により利益を平等に分担する必要がある。

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これらは、関係する企業で働く者にとっては、全て真実なのかもしれない。

結局、何を言いたいのか。

先日、陰謀の対義語は何かという話になった。

ネットで調べると、暴露、楽観、インテリジェンスなどというのまである。しかし、そもそも陰謀などというのは単なるレッテル貼りであり、その対義語を考えることは、つまりは二項対立を作ることに他ならない。

世の中の出来事など、そう単純な話ではない。

日本のようなぬるま湯の平和な国では、多くの人は、今のぬるま湯が実は冷水であったなどということを認めるのを拒否するだろう。

しかし、現実には冷水なのだ。

上記のような陰謀論と言われることを信じる必要はない。しかし、今の暮らしが冷水の中にいるということぐらい理解するべきだ。

そこに、今、まさに氷を放り込もうとしているのが、現政府である。

パブリックコメントに意見が集まらない国。それは平和ボケした日本の特徴でもある。賛成なら賛成でもいい。

ただ、唯一国に意見を送れるパブリックコメントを無視することこそ、まさに陰謀だと僕は思う。送らせないための色んな方策が陰謀でないなら、何が陰謀なのかとすら思う。

※パブリックコメントの提出はGW明けの今日5/7の18時まで。この休みボケのタイミングである。

「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集(パブリック・コメント)について」

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public...

#まだストーブを消せない我が家のキッチンにて