PART.60 悟りを開いた男 ダニー・グリーン
悟りを開いた男 ダニー・グリーン
昨季ファイナルスパーズの思わぬ選手が活躍しチームを勝利に導いた。そしてその反動がスパーズの優勝を阻む要員となった。
サンアントニオ・スパーズの3Pシューター、ダニー・グリーン。昨シーズンから常に彼に注目していた僕にしか分からないであろうグリーンの軌跡と成長を書き記します。
2009年、ノースカロライナ大学から2巡目46位で指名されたグリーンの前途は多難だった。指名されたキャブスは大した活躍をすることなく解雇。Dリーグでプレー。2010年11月にスパーズが声を掛けるも6日後に解雇。またもDリーグでプレー。2011年にスパーズと契約。だがまたもDリーグ送り(この時は解雇でなく練習)。そして2011年のレギュラーシーズンでようやくスパーズの一員としての生活が始まった。
スパーズ仲間入り以降はジノビリのシックスマン転向もありスムーズにスターターに定着した。地味にタフなディフェンス（グリーンの良いところはタフなディフェンスを同じ調子で1試合続けること。気を抜いてフリーにしてしまうような場面が殆ど無い。異常に足が動く、ブロックやスティールが上手いなど、分かりやすく上手いわけではない）と成功率40%以上を維持する3Pなどの安定性はジノビリよりもスターターには向いていた。
そして昨季ファイナル、GAME2にグリーンが突然爆発した。GAME1も4/9と悪くない成功率の3Pだったが、GAME2では5/5の100%。そしてGAME3は7/9、GAME4は3/5、GAME5は6/10と、GAME5まで脅威の68.4%で3Pを沈めまくり、レイ・アレンが保持していたファイナル・シリーズの3P記録22本をその時点で上回る25本を成功させていた。
しかしグリーンの活躍はそこまでだった。王手を掛けて臨んだGAME6、グリーンはウェイドの激しいマークに合い3Pは1/5。大御所レイのブザービーター逆転3Pで勝負をGAME7に持ち越され(何故ダンカンをベンチに下げたんやポポビッチ…)、GAME7でも1/6と3Pは奮わず(スパーズはどれだけ入らなくてもグリーンの3Pをオプションから外すことはなかった。これは強いチームを作る上でとても大事なこと)、スパーズは久しぶりの優勝を逃した。
GAME5までのグリーンは笑顔だった。自分のシュートタッチが大舞台で最高潮に達し、ゲームを楽しんでいた。GAME6以降のグリーンは不安な表情をしていた。激しいマークにリズムを崩され、どのシュートも打ちきれずショートになっていた。明らかに顔が戸惑っていた。さて今年のグリーンは？
今季のグリーンを初めて見たとき、彼が鉄の男になったことを理解した。彼は悟りを開いていたかのような目をしていた。昨季も確かに表情の変化は少なかったが、今季は固いのでなく深い表情になっている。恐らく夏はファイナルの悪夢にうなされながらハードなトレーニングをしてきたのだろう。
最高と最悪を経験したグリーンは優勝と引き換えに鉄の心臓を手に入れた。カンファレンス・ファイナルに挑むスパーズ。是非NBAファイナルに駒を進め、昨季とひと味違うグリーンを見せて欲しい。
しかしスパーズはお金の管理しっかりしてますね～。マット・バーンズがそうだったように(バーンズはドッグのお陰で給料5倍になったけど)タフなディフェンスをしたり地味に良い仕事をする選手の契約金は少ないことが殆どです。経営という面があるのは勿論ですが、弱いチームは人気のある選手にしかお金を払いたがらない傾向があります(だから弱い)。その点スパーズは1回クビにしてまた契約したけどDリーグに送ったグリーンと3年1200万ドルの契約を結んでいます。この金額は高すぎず低すぎない最良の金額かと思われます。グリーンはスパーズ専用選手という雰囲気になってきたので、長くスパーズで働くのではないかと思われます。そうであって欲しい！
次回はゴールデンステート・ウォリアーズのHCに98%就任が決まっているスティーブ・カーについて！
デューク大の選手に豪快なダンクを決めるグリーン。そしてこの嫌がらせである(笑)
グリーンは海外版2chに「ダニー・グリーンだけど質問ある？」とスレッドを立てたことがある。「2008年のACCレギュラーシーズン王者をかけた試合で、デューク大のグレッグ・パウルスに豪快ダンクを叩き込んだときは、どんな気持ちでした？」という質問に対し「あの男とデュークは嫌いなんだ」と答えた。ちなみにグリーンは西海岸の大学で1000得点・500リバウンド・200アシスト・100ブロック・100スティールを記録した唯一の選手。優勝もしている。
グリーンは蛇を飼っている。一緒に写真を撮っちゃうくらい仲良しだ。確かにグリーンも蛇っぽい顔をしてる…
彼のホームページ。アパレル方面でも活動しているらしい。HPのロゴは正直イケてない。