ここで最年少のK君。たしか5年生くらいだったか。
見た目は小さいのでもっと幼く見えた。
登校拒否できたらしいおとなしい子だ。
 

「シュ!シュ!」いつもシャドーボクシングをしているコーチY
聞くところによると元4回戦のプロだとか。

訓練が終わり合宿所の庭まで戻ってきた時。
「おいチビ!こっち来いや!」YにK君が呼ばれる。
「チビ、スパーリングや!かかって来い!」

「い、いえ、そんな・・できません。」
「そーれ!いくぞおら!」顔面にパンチが、

「痛いー!」後ろに転がるK君。
「わっははは!お前おもろいのう!ほら立てや!もういっちょいくで!ほら!」さらにもう一発。
「うわー」なき叫ぶK君。

勿論手加減はしているだろうがあまりも惨い・・・
こんな事を見ながら何も出来ない自分に酷く嫌悪感を抱いた。





ある日の夕食後の出来事。


「おい!お前ら全員表に出ろ!」

コーチTが怒り狂って怒鳴る。

このコーチ、入校した日に殴ったあのコーチだ。
「ゴミ」「カス」「奴隷」「家畜」と呼ばれる訓令生に殴られ、暫く目の周りが腫れていた事が余程の屈辱だったのか、常に目の敵にされていた。
事あるごとに集中的にいじめてくる一番いやな奴・・・嫌な予感がする・・
 

「ヨシ!1列に並べ!」
明らかに酔っている感じだ。
列の一番右の者の前に立つ。

「よっし!奥歯かみしめろよ!」

「ウツ!」左の頬にパンチが炸裂。
「ヨシ!次」

「ウツ!」 

一人ずつ順番に殴られる・・
次だ・・
「痛!」 

特に集中攻撃されることは無く次の者に。

何人目かの一人が言った。
「すみません。何故でしょう?」
「あっ!知りたいか?よしお前は良い。あとで教えてやる。よし次!」
「ウウ!」 

「次!」・・・・

全員終わった。

「さっき俺に質問した奴が居たな?お前か、ヨシ!後のヤツは合宿所に戻れ!」
気になりながらも皆で歩き出す。

「ヨシ!お前教えてやろ!」

背中で声がするが聞いてないふりをして皆歩く。
「あのな!別に理由は無いんだよ!」

「うう~」

「誰に質問してんだ!ああ~!」

殴る、蹴るのフルボッコ。思わず皆が振り返る。
「コラ!立ち止まるな!さっさと行け!」

10メートルは離れた入り口。まだ声が聞こえる。
「あ~!なめとんのか!」
「ごめんなさい!」・・

 

 

 

記憶に深く焼き付けられている出来事。

ほんの一部で、直ぐに思い出せない事もまだ沢山ある。
こんな事が日常行われていた。


勿論ここは日本であって「治外法権」などあり得ないのだが、一般社会の常識をはるかに超えた考えられないような行為が「教育」として当たり前に行われていた。日本の中に隔離された別の世界があったのだ。