「何時だと思ってるんだ!」
「ああ~関係ねぇだろうが!」
「いい加減にしろ!お前はいつからそんな不良になったんだ!」
「んだと!こらー!」親父の胸ぐらをつかむ。いつの間にか見下ろす小さな親父。
「やめて!二人とも!」
「けっ!やってらんねぇーぜ!」玄関を飛び出す。
「ちょっと待って!」
「ほっとけ、母さん!」
畜生!何故か殴れなかった・・・
あれだけ怖いと思っていた親父・・殴ったら負ける気がしなかった・・
中1の二学期の半ば・・
毎日、学校帰りには先輩の家のたまり場に行く。
そこで初めてタバコを吸ったのはショートホープ。
死ぬかと思うほど蒸せて、涙がでて目は真っ赤になった。
最初は躊躇していたがある時から何も怖くなくなった。
家にはまともに帰らない。万引き、他校と喧嘩、単車窃盗、直結、無免許運転、暴走族に加入、集会に行く、自転車やの息子の部屋で最初に吸ったゴムのりが切っ掛けでシンナーへ、中2の冬にはすっかり「完成」していた。親父に対してざまあみろ!と言わんばかりに。
学校などバカバカしくて行く気もならなかった。寧ろ金を稼いでとっとと家を出たかった。
そう思ううちに、単車に乗ったり、目立ったりするのもくだらない気がしてきた。
暴走族やっても1円にもならないが、同じ不良でも金を稼ぐ人たちに憧れを抱いていった。
Tさんと出会ったのは、最初は仲間のMが行方不明になった事からだ。
携帯もポケベルもない当時は、公衆電話か家電から仲間や他校のヤツに電話したり、直接あったりして聞き込んだ。
どうもテキヤの人の所に居候してるとのうわさを聞き探しに行く。
Mは案外すぐに見つかった。地元へ戻るよう説得しようと思ったが、その時Tさんに会った。
「おい、坊主、一杯行くか?多少はいけ(呑)んだろ?」Tさんに誘われた。
なんかかっこ良かった。大人の不良という雰囲気だ。
「はい!」と即答でついていった。
「すみません、あの自分その金稼ぎたくって・・なんか仕事したいんすけど・・」
「おめぇ中坊だろう?学校は?」
「大丈夫っす!」
「まあ、何が大丈夫かわかんねえけど、小遣いくれえしかやらねえぞ。」
「はい、お願いします。」
Mを連れ戻しに行ったのが、逆に自分が居座る事になるとは。
それから、暫くTさんの部屋に寝泊まりし、毎日ではないが駅前や地下で露店を出しおもちゃやくじ等を売っていた。
「たまにゃ学校行けよ!卒業出来ねぞ!」「はい!」と言いながらも学校には一切行かなかった。
中3が始まったばかり、もう2週間もすると修学旅行、それだけは楽しみにしていたそんな頃、Tさんの留守中、「ピンポーン」
「〇〇警察署ですが、Tさんですね?」
「そちらに○○君という少年がいると思うんですが・・」
何なんだ?居留守を使ったところでまた来るだろうし迷惑をかけるわけにはいかない。
扉を開ける「ガチャ」
「はい、自分が〇〇ですが・・何か?・・」
「あっ良かった!君のお母さんから捜索願が出ているんだよ。なんでもお父さんが大変らしいよ。とにかく署で待ってるから一緒に来なさい。」
パトカーに乗せられ警察署へ。
真っ青な顔をした母「お父さんが名古屋の方で大変な事に・・・」
「えっ、ど、どう言うことだよ」
「港でつり荷のワイヤーが切れて材木の下敷きに・・意識不明の重体で・・・」
な、な、何てこった・・嘘だろう・・・
俺のせいだ!バチが当ったんだ・・
「とにかく新幹線ですぐ名古屋に向かうから。」
「・・・・・・・・」