おそらく3年くらい前、家族で電気屋に行った。俺の家族ルールの一つに、買い物が始まったらバラバラに行動するというのがあった。別にルールってわけでもないけど。それぞれ見たいコーナーが全く異なるので、必然っちゃ必然だと思う。
そういうわけなので、俺は1人でブラブラと、大して興味もないウォークマンのコーナーとかを見てたりした。
しばらくすると、遠くから怒鳴り声のようなものが聞こえ始めた。遠くなので音量は小さいけれど、それでも怒鳴ってるとすぐにわかった。
「あっまずい」とすぐに思い、声のした場所に行くと、やはり怒鳴っているのは父だった。
どうやら、iPadか何かを見ているときの、店員の対応が悪かったらしい。完全にキレてた。涙目の店員のとこにすぐに駆け寄って、なんとか話を落ち着かせた。
こんなことは日常茶飯事…ではないけど、過去に数回ある。
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父のキレ方は少し特徴的で、どんなに興奮して声を荒げても、「今回は○○で、△△だから、××みたいなことが起きたんだ」と、ロジカルなフォーマットで話す。内容がいいかどうかは置いといて。
父の中で、徹底された自分の理論があるのだろう。
さらにそれに加えて、
「ちゃんと人に物事は伝えた方がいい」という考えも持っている。
「シャツ出てるよ」から仕事の指摘まで、本当に自分が気になったことは言う人。
つまり、父は怒った場合、それを絶対に伝える人なのです。そしてその「怒り」は、自分の理屈と違う行動をした人と対面した時に生まれる。そんな人。
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店で怒鳴る父を見て、周りは「うわぁやべえのいる
よ…」的な空気を醸し出してるのは言うまでもない。いつもその度思うのは、キレたら全部台無しだよなぁということ。
よくよく話を聞いてると、怒鳴りながらも言ってる内容は0.1理ぐらいあるような感じも受ける。少なくとも、物腰柔らかく話すと店員もキチンと反省するのでは?と思う程度には。しかし実際は、「なんか、トンデモない人と出会ってしまった。接客業の定めか…」ぐらいにしか思ってないだろう。やはり、怒りは本当に伝えたいことを濁らせる。
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基本的に父のスタンスは嫌いではない。俺もある程度自分のロジックに沿って人生を謳歌しているわけだし、自分と違う考え方してる人に対しては、それを伝えるべきだとも思ってる。基本スタンスは、同じってことになる。
やはり大きな違いは、違う人のことも理解しようとしているかどうかの差かなあと感じる。ただ、はっきり言って俺もまだ全然出来ていないと日々思う。理解できないことは怖いし、イライラもする。なので、何年かしたら俺も電気屋で店員に怒鳴ってるのかなあ…とかたまに思って、少し笑ったりする。いや、やらないよ。
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「他人の考えもわかってあげれば?」的なことについて、食べ物の好みの差から父に説明したことがある。ラーメンが好きな人も嫌いな人もいるよね。ほら、色んな人いるね!!と、何だか笑ってしまうくらいチープな話。
でもなんだか父は少し耳を傾けてくれて、少し意識しようとしていた感じが見えた。この歳でも考えを変えようとする姿勢は、素晴らしいと思う。
しかし、そんな矢先に、父と父の姉と俺で中華を食べに行った時、父の姉が「何これ美味しくない!こんなのよく食べれるねえ?」みたいなことを言い始めた。タイミング悪すぎて笑ったが、案の定、父は姉に向かってブチ切れた。まだまだ葛藤は続くらしい。
笑ってしまうくらい、本気で勘弁してと思うくらい、父は人生をしている。