7歳くらいからずっとトランペットを趣味で吹いています。

いわゆる吹奏楽を小中学校は強豪校で鍛えられ、高校・大学ではオーケストラに所属していました。

今も、趣味で社会人のオーケストラに所属しています。

みんな医療者というかなり特殊な場所です。

 

肺がんと言われた時、一番心配だったのは、「もう楽器が吹けなくなるのではないか」ということでした。

術後1週目で初めてラッパを吹いたら、全然息が持たず、音にならず絶句。。

その後もトリフロー(呼吸訓練器具)や腹式呼吸で自主トレをしましたが、なかなか芳しくない。。

 

7月末に久々にオケをすることになり、しかもショスタコ―ビッチの「革命」4楽章。

ラッパの人手が不足で、手伝いましたが、なんとかソロを吹き、夫にも助っ人で吹いてもらって乗り切りました。

今思えば、吹けるようにはなったものの、若干息切れと息不足でした。

 

昨日、久々にまた合奏があり、ベートーベンの英雄を吹きました。

なんと、ほぼもとに戻っていました。

8月から9月はコロナも第5波だったし、職域接種と大規模接種会場のお手伝いで、オケどころではなかったので、吹いていませんでした。

実習も始まって、忙しくしていましたが、運動量は格段に増えていましたし、研究室の片付けでかなり体力を使っていました。

病院との往復、階段昇降・・。

それがよかったのか、楽にふけるようになっていました。いや~よかった。

息切れもないし、息継ぎも問題なかったです。

 

呼吸リハビリテーションについて、一応勉強して資格もとったので、自分の術後に自力でやっていましたが、よかったのだろうと思います。

術後の早期は、肋骨の傷の痛みをみて、徐々に体幹を回旋運動(横にねじる)をして、

肋骨がくっついてバストバンドをはずしたら(術後3週間から1か月すぎ)、肩回しと首まわしをしてからトリフローや腹式呼吸訓練をし、

術後3か月を過ぎて、室内での息切れが軽減されてきたら、外で散歩や負荷をあげていくなどしました。

 

失われた呼吸機能はもどらないので、後遺症になりますが、予備分がなくなっただけなので、運動時以外はおそらく元の呼吸機能分まで戻るのではないかと思いました。運動時も一過性の息切れはありますが、3分以内くらいで安静にすれば呼吸は回復するので、小休止しながらできると思います。

 

NHKの朝ドラの「おかえりモネ」に肺がん?のホルン奏者のエピソードが出ていましたが、(菅波先生の患者で、手術したらまた吹けるようになるって言ったのに、吹けなくなってしまった、みたいな。そして後日談として、演奏家はできなくなったが、趣味でホルンを再開したとありました。)、プロの奏者をやめなくてもたぶん全然大丈夫だろうと思いました。

シカゴ交響団に伝説の「片肺のチューバ吹き」というのがあり、チューバは肺活量がすごい必要なのですが、病気か事故でもともと片肺の機能しかなかった人でもプロのチューバ奏者をすることができた(つまり、肺活量が問題ではなく、今ある機能をどのように使うかという見本)という有名な話があります。

 

自分の体験から、術後7か月くらいで、楽器の演奏は呼吸リハビリテーションをすれば問題ないレベルに戻すことは可能だということが立証できました。これも、何かのお役に立てたらと思います。

ちなみに、術前も術後もコロナのせいで呼吸機能検査をまったくやっていません。気になりますね。。(もともと人より肺活量がないほうです)

 

もし、このブログを読んで、積極的に呼吸機能訓練をしたい!という方は、3学会合同呼吸療法認定士という資格があるのですが、呼吸に関しての研修を積んでいる方で、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・臨床工学技士など多職種で認定を受けられますが、この資格のある理学療法士の方がいる外来のクリニックなどでトレーニングを受けるとよいのではないかと思います。

あとは、アストラゼネカ「肺がんと生きる」のサイトでも呼吸リハの動画が紹介されていますので、それもGOODです。

ただ歩くとか呼吸訓練するだけでなく、肩回しや首まわしなどで「呼吸筋」という呼吸を補助する筋肉をストレッチをしっかりしてから訓練するのがベストです。呼吸は唯一自分の意思でコントロールができるので(全集中の呼吸!みたいに)、訓練の効果はかなりあると思います。