手術前の主治医の説明では、デスクワークだったら退院後1週間で戻れるのではないかということでしたので、

職場(大学)には1週間くらいは自宅療養すると伝えていました。

 

今までにも肺を切るまでに4回手術をした経験があるので、「職場復帰=もとに戻れる」という考えだったのですが、

これは大いに違いました。

 

前回書いたのですが、「息苦しさや痛みで眠れない(4~5時間くらい寝たかどうか)」「トイレに行くにも息が切れる」「切ったところの上半身4分の1くらいのエリアがしびれたり、痛みがあり、身体の曲げ伸ばしや回転がしにくい」「胃が痛い・下痢・食欲ない」「足がむくむ」などが退院後から1か月くらい続きました。

ちょっとずつ症状は良くなりましたが、本当にちょっとずつでした。

 

退院後1週間目に戻るつもりだったので、産業医と面談がありました。

車の運転でも体がひねれないので、シートベルトに手が届きにくく、タオルでヒモを作ってベルトを引っ張ってベルトを装着しました。

車からちょっとの距離も5メートルごとに息が切れるので休むような状況。

面談でも咳がひどいので3分も話せない。

そんな状況だったので、産業医から1か月は休養したほうがいいでしょうと言われて、退院後2週目の外来で休暇用の診断書をまた書いてもらいました。

 

主治医は悪い人ではないのですが、患者と話すことはあまりこれまでしてこなかったようで、身体の状況を話したり、なぜこうなっているのか聞いても結構びっくりしながら、「そんなもんですよ」とか「へーそうなんですね」などの反応でした。手術件数は多いはずなのですが、術後の状態にはあまり興味がない感じで、傷の治りくらいしか気になっていないようでした。

いや、診察では傷も見てないし、バイタルもとってなかったですね。。(私がナースで毎日バイタルもとってるし、自分で管理していたからでしょうか。。)

退院後2週目の外来の目玉は「胸腔ドレーン部の抜糸」。抜糸をして(麻酔なしでどうかなと思いましたが、大して痛いということもなく、すぐに終わりました)、大きめの絆創膏を貼られて、「明日から入浴してもいいですよ(退院後はシャワーのみだったので)」と言われました。

 

入浴できるようになったら背中の痛みも楽になるかな、と期待していたのですが、その夜、シャワー後に絆創膏をはがしたら、ドレーン部分がまるで唇のようにパカッと開いているではないですか!!ショックでした。

 

夜だし、自分にとっては大事だけど、病院にとっては大したことじゃないだろうと思われ、水分をガーゼでふき取り、化膿したらいやなので、ゲンタシン(抗生剤入り)軟膏を少なめにつけた滅菌ガーゼを傷にあてて、寝ました。

翌朝、予約外での受診はできるか不安だったので、病院の外来のナースの知り合いに写メを送って、行ったほうがいいかアシスタントの医師へ確認してもらい、予約を入れてもらえたので受診しました。受診の結果は、化膿する危険があるので、入浴後にガーゼとゲンタシン軟膏塗布ということで、傷もよく洗うなどの指示がでましたが。。

ドレーンの傷は創治癒でも特殊で、「二次治癒」というジャンルになります。

傷の手当ても方法が時代とともに変化していて、今は「閉鎖式」といって術後透明なテープで覆って数日閉鎖して、傷から染み出す組織液で治すのが主流になっています。昔は「開放式」が多く、洗って乾かして軟膏というのが一般的でしたが、開けっ放しなので感染も多かったです。病院からの提案は旧式だと思い、しかしながら閉鎖式も感染がおこるとかえって危険もあり、悩ましかったですが、一晩のうちに傷のところから染み出した体液が固まり、かさぶたになったので、それを大事にして触らないことに決めました。かさぶたがしっかりするまではシャワー浴にして、1週間くらいしてから入浴にしました。2か月目すぎてかさぶたが剥がれて、綺麗に治ったのでよかったです。

 

呼吸訓練をいつはじめるか、というのも悩ましかったです。

退院後すぐにアマゾンで「トリフロー(玉が3つある訓練器具)」を購入して、朝昼晩練習することにしました。

トリフローは息を吹き込む方法とさかさまにして息を吐きだす方法の2通り使えますので、呼気訓練と吸気訓練ができます。

しかしながら、咳でむせてしまうのと玉が術前だったら3つ上がるくらい(1200cc)の肺活量があったものが、玉1つも上がるかどうかになっていました。

訓練は無理そうだったので、腹式呼吸訓練を1日3回30回ずつやりました。

胸式呼吸は肋骨や筋肉を使うので、術後の切った体には適していないのですが、腹式呼吸は横隔膜をつかって肺を動かすので傷に負荷がかからずに肺を広げられます。

傷の痛みの様子をみながら、上肢の関節可動域訓練(呼吸をするためには上体の筋肉をほぐして肺が広がるようにすることが大事)もしました。首をまわし、肩をまわし、などです。

 

よく歩くのが一番いい、と本やネットに書いてありましたが、もともとそんなに歩くほうではないので、息切れもひどいので1か月は家の中での訓練を中心に日常生活を送れるということを目標に動くようにしました。