「滑走屋2024」福岡公演 - はじめに

お久しぶりです。ほぼ1年ぶりのブログです。

福岡で開催された髙橋大輔フルプロデュース・出演の「滑走屋」に、私は日曜夜と月曜朝・昼・夜の計4公演を見てきました。　　

3月1日のドキュメンタリー配信（『滑走屋～Making Documentary Film～』）前にはやっておきたいな、ということで、演目プレイリストです。すでに他の方のブログ等で出尽くしていると思いますが、自分のブログに記録しておきたくて、重複承知で記事に残します。

公演名：滑走屋
開催日：2024年2月10日(土)、11日(日)、12日(祝月) 各3公演、計9公演
会場：オーヴィジョンアイスアリーナ福岡
出演者：
＜メインスケーター＞
高橋大輔、村元哉中、村上佳菜子、友野一希、山本草太、三宅星南（10日、11日のみ）、青木祐奈（島田高志郎選手は体調不良により出演キャンセル）
＜アンサンブル＞
大島光翔、櫛田一樹、門脇慧丞、木科雄登、佐々木晴也、坪井聖弥、松岡隼矢
菊地竜生、三宅咲綺、江川マリア、奥野友莉菜、岩野桃亜、中西樹希（長谷川一輝選手、北村凌大選手は体調不良により出演キャンセル）

■滑走屋オフィシャルサイト
https://kassouya.jp/
■滑走屋公式のInstagram
https://www.instagram.com/kassouya_official/
https://www.instagram.com/reel/C3KKjbupxm-/　　　　　　　　　　

今回のショーは、通常のアイスショーと違い、75分ノンストップで、出演者の紹介等のアナウンスも一切ない、まるで舞台のショーを見るのと同じような流れになっていました。
その手法は、昨年1月に同じオーヴィジョンアイスアリーナ福岡で、大ちゃんが構成にも関わった「Ice Explosion 2023」の第二部と同じ手法です。（拙記事「Ice Explosion (氷爆）初日メモ」)
ただ、その時とは違う感想を今回持ったのですが、それは、

高橋大輔がここまで音楽のセンスがいいとは思わなかった!!

ということ。前回のプレイリストも記事にしていますが（拙記事「Ice Explosion 2023 - 使用曲情報」）、この時のグループナンバーの楽曲選びは全て彼自身が行い、スケーターのソロ演目も、彼が思った公演の世界観に合うものを指定したそうなので、特に第二部には彼の音楽的嗜好が見て取れます。
ただ、この時の楽曲のラインナップは、ある意味こちらの想定内で、ははーん、まあ、髙橋大輔が選びそうっちゃ選びそうな曲やなあ、というものだったので、特段驚きはしませんでした。
例えば、アニメ『イノセンス』や『ギルティ・クラウン』の挿入曲をオープニングとフィナーレで使っていたのは、アニメ好きギルクラ好きの彼ならあるやろなと思ったし、オープニングや第二部のGroup4でいかにもコンテンポラリーダンスで好まれる楽曲使っているのは、まあ、フィギュアスケートやってりゃこういう音楽沢山聞いてるやろな、と思ったし、別のグループナンバーでサム・スミスのUnholy使ったのも、有名な曲だし、そもそもかなだいの演目が同じサム・スミスやしなあ、と特に意外性はなく、ほとんどの曲が私自身が知っていたり、聞き馴染んでいるタイプの曲だったので、驚くことはなかったのです。

が、今回の使用曲はどれも意外なものでした。
ボーカルあり、インストゥルメンタル（インスト）ありとまちまちですが、おおざっぱにくくれば、MTVで流れてくるタイプの、USやUKの音楽ファンなら知ってる、そして、クラブ好きには耳馴染みのあるサウンドを、ダークな路線でまとめたという感じ。（まさか、ＮＹ時代に夜な夜な訪れたクラブで鍛えた耳が、ここで役に立ったのか！？）

で、使用楽曲を通しで聞いたとき（下のSpotifyリストがおすすめです）、彼が思い描いた、今回の「滑走屋」のコンセプトが明確に見えてきます。
出演スケーターの多くは20歳前後、一番若い奥野友莉菜さんは出演時はまだ16歳、と皆若い。高橋、村元、村上以外は皆現役スケーターです。そもそも現役から選ぶという時点で、平均年齢が若くなるのは当然。
大ちゃんが、その若いスケーターをスカウトするにあたって重視したのが、スケーティングの力強さ。つまり、若さと力強さが今回のショーの特徴で、それを活かせる楽曲選びに必然的になったのだと思います。　　　　　
　　　　　　
ロック、オルタナロック、ヒップホップ、エレクトロポップ、ラップ、R＆B、とジャンルは様々ですが、共通するのが、ドンスコドンスコというドラムンベースのビートとリズムが目立つということです。だから、音楽の力強さがある。優雅なイメージのあるフィギュアスケートの対極にある選曲。
その中に唯一といっていい、静かな曲なのが、22曲中、13曲目に来る、友野君の「Halston」。これは彼の今季の競技プログラムです。他の曲の多くが力強いリズムで展開する中、大ちゃんはこの曲の前後に演出を加えています。

12. グループナンバー「Cry Me A River」
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　　曲の最後の一節から青の照明に転換し、雨の音がかぶる。
　　傘を差したスケーター。
　　「Halston」のピアノの始まりとともに、雨の音が遠くなる。
　　友野登場。他のスケーターがはける。
　　↓
13．友野ソロ「Halston」（ピアノのマイナーな曲調、静寂と哀しみ）
　　↓
　　傘を差したスケーターが現れ、その傘を受け取って友野退場。
　　強い風のような音が吹き抜ける（観客の拍手がピタリと止む）。
　　↓
14. 村元哉中ソロ「Figure 8」

こちらの動画がちょうど上記シーンを捉えています。
https://youtu.be/07Lv6wLiED0?si=KErd-TgmKiJ9B89d

この流れで見たとき、友野君の「Halston」は、まるで公演の主役のような印象を受けました。これ以上ない演出で、「Halston」の世界観が表現され、これは、この曲を選んで振り付けたミーシャ・ジーに是非とも見てほしいと強く思いました。

この演出から見ても、いかに大ちゃんがこの「Halston」を大切に思っているかがわかります。また、それまで勢いで流れていた演目の空気感を、一気に転換させました。
「Halston」ありきで全体の曲の構成を考えていったのではないかと思えるくらい、友野君の登場順は完璧でした。この演目が、公演全体に深みをもたらした気がします。もし友野君が体調不良などで出演がキャンセルされていたら、公演の印象も違ったものになっていたはずです。

楽曲に工夫がされていたのは、他にもあって、フィナーレ前半の「Into the Labyrinth」は曲の途中で終わっていて、最後に全員がはけた後、大ちゃんが一人でスポットライトの中に現れるとき、最後に車のクラクションが通り過ぎていくような音響がありますが、原曲にはないので、編集で付け足した部分だと思います。全部の曲を細かく聞いていけば、他にも工夫された部分がもっと出てくるかもしれません。
こういう効果音を付けて編集することはフィギュアスケートのプログラム曲作りの中ではままあることです。（拙記事参照「音源オレシリーズ：「マンボメドレー」づくし」）

これら音楽の使い方や演出部分に、私は少なからず、大ちゃん自身が出演した、ダンス公演『Love on The Floor』 2016および2017、あるいは2回も招待されたスイスでの『Art on Ice』の残像を感じました。
具体的にどこか参考にしたということではなく、曲と曲のつなぎ方であったり、曲の後の余韻の残し方であったり、選曲も含めたオープニングからフィナーレまでの展開の仕方であったりと、大ちゃんの中にしっかりと学習されて残ったものがあって、今回、それが形になって表れてきたという感じを受けました。

使用楽曲を実際に編集したのは哉中ちゃんだと思いますが、どの楽曲を使い、効果音をどこにどういう風に入れるかなどアイデアをもらいながら具体的に指定をしたのは大ちゃんだと思います。選曲、構成、編集など、『Ice Explosion 2023』ですでに経験済みとはいえ、これほど洗練された内容に仕上げてきた彼の音楽のセンスというものに、正直驚きました。
アニメ曲とか、暗めの日本のポップスが好みだとばかり思っていましたが、だからといって、そればかりを聴いているわけではなかったのです。プロの表現者として、自身の好みとは別に、ジャンルを問わず音楽を収集してくる能力と感度がものすごく高いのだと知りました。これは、シェイリーンなど世界的な振付師と共通するものです。

考えてみれば、彼は氷上のダンサーとして別格であり、そのパフォーマンスは体から音楽が流れているようだと表現されるほどですが、ということは、音楽を聴く耳が並外れて良いということです。
音楽に詳しい人は「知識」が豊富ですが、おそらく彼の場合、知識とは別の感覚のようなもので、必要な音楽を探しあてることができるのではないかと思います。（だから、今回採用した楽曲のアーティストについてバックグラウンドを知っているかどうか怪しい）

　　　
今回は、音楽に焦点を当てて、皆さんがアップされたプレイリストも参考にしながら、楽曲リンクを公演の内容に沿ってリストアップします。アーティスト名には、そのアーティスト情報のリンクを付けました。

また、楽曲が使われたパフォーマンスの動画も、皆さんがXやYouTubeに上げてくださったものを、勝手ながらリンクを貼らせていただきます。まだまだ貼りきれなかった動画が沢山ありますので、今回のアップ後も、逐次付け足す予定です。
もしリンクを貼ってほしくないという方がいましたら、すぐに削除しますので、私のXのほうに、シーン番号と該当リンクをコピペした上で、DMをいただければと思います。（@btmn2020)
あと、各シーンごとに出演スケーターが判明した場合のみ書いていますが、正直確認する暇がないため、もし教えていただければその都度訂正していきますので、それもXのDMでお願いします。日によっていないスケーターとかいますが、一番揃っていた時のメンバーを残せればと思います。

なお、滑走屋オフィシャルからの注意事項として、「SNS・動画投稿サイト・動画アプリへ、公演全編及び主催者が全編相当と判断する内容のアップロードがなされた場合、急遽、公演中の撮影を禁止とさせていただく可能性並びに今後、同様の企画が実施できなくなる可能性がございます」とあるので、全シーンではなく、基本、全グループナンバーと、ソロは大ちゃん、哉中ちゃん、友野君の演技だけにして、草太君、星南君、佳菜子ちゃん、祐奈ちゃんのフルのソロ演技のリンクはありません。

最後に、佐々木晴也君のunlimでのオンラインミーティングアーカイブで聞いた内容も多少加味させてもらっています（緑部分）。各演目についてかなり詳しく語ってるので、「プレミアムプラン」に加入して聴くことをおススメします（佐々木君への応援にもなります）
（2月29日（木）には、櫛田和樹君のunlim TEAM KAZUKI内で、オンラインミーティングが予定されています。こちらでも裏話聞けそうですね。

＜主に参考にさせていただいたプレイリスト・動画リンク＞

【楽曲】
Spotify 滑走屋プレイリスト by Kafka Yano
apple 滑走屋プレイリスト by ゆめこ
 amazon プレイリスト滑走屋
 YouTube 滑走屋Music by Moon light

【公演動画】
YouTube 滑走屋2024 by reiko1213
YouTube 滑走屋プレイリスト by Moon light
YouTube 滑走屋プレイリスト by risapon

YouTube 滑走屋2024 by katsu dai

YouTube 2024滑走屋 by miosuke

以下は①「滑走屋2024」福岡公演 - 音楽＋演技動画リンク　にて映像リンク追加

<Opening>　
①Pre-Opening『Clock』

1. Stranger Things (Vecna's Grandfather Clock Theme) by L'Orchestra Cinematique

②『Hide and Seek』
2. Hide and Seek by Klergy
③『Furioso』

3. Furioso (Shylom Remix) by Power-Haus　　　
④『Blood Tears』

4. Blood Tears by IP Beats　　　　　　
⑤『Heist』
5. Heist by Noisestorm
　　
Scene 1: 『Teeth』ソロ by #山本草太
6. Teeth by 5SOS (5 Seconds of Summer)

　　　　　　　
Scene 2: 『Engravings』ソロ by #三宅星南
7. Engravings by Ethan Borrtnick
　　
Scene 3: 『Who Are you, Really?』
8. Who Are you, Really? (Teen Wolf original television soundtrack) by Mikky Ekko
　　
Scene 4: 『Fire』『Physical』ソロ by #村上佳菜子
9. Fire by Sara Bareilles

10. Physical by Dua Lipa

　　
Scene 5: 『Cocobongo』
11. Cocobongo by Superjava

Scene 6: 『Cry Me A River』
12. Cry Me A River by Tommee Profitt（ Nicole Serranoボーカル）

　　　
Scene 7: 『Halston』ソロ by #友野一希
13. Halston by Stephan Moccio

以下は、②「滑走屋2024」福岡公演 - 音楽＋演技動画リンク　にて映像リンク追加

Scene 8: 『Figure 8』ソロ by #村元哉中
14. Figure 8 by FKA twigs

Scene 9: 『Our Demons』
15. Our Demons (Pair of Arrows Remix) by The Glitch Mob

Scene 10: 『Better Man』ソロ by #青木祐奈
16. Better Man by Ellie Goulding

　
Scene 11: 『Dangerous Game』
17. Dangerous Game by Klergy

Scene 12: 『cut my fingers off』

18. cut my fingers off by Ethan Bortnick

Scene 13: 『Carmen』
19. Carmen Habanera on One Guitar by Marcin

Scene 14: 『Flame to the Moth』ソロ by #高橋大輔
20. Flame to the Moth by Pain of Salvation

＜Finale＞　
①『Into The Labyrinth』
21. Into The Labyrinth by Kraddy　　　　　　　
②『Do It』
22. Do It by Gjan

■出演者・スタッフ関連

　　
▽non-no web【 #トモノのモノ語り。】vol.34＜フィギュアスケート男子＞
https://nonno.hpplus.jp/article/121396