こんにちは。

 

気づけばもう秋も半ば・・・

ゆきちゃん退団発表を受けてしばらく打ちひしがれていました。

みんな言ってるけど私も添い遂げだと思ってて、というかまだトップになってからのゆきちゃんの代表作!になるような役もらってないじゃん・・・って悶々としてしまう。

ベテランの娘役だからこそできる、大人の女性の魅力があふれる厚みのある役見たかったな。

退団公演の役どんなだろね。まぁ様の退団のときのうららちゃんくらい優遇されてほしい・・。あれは手厚いケアでほんとありがたかった。うららちゃんのビジュアルめちゃくちゃ好きでした。

 

止まらなくなるので前置きはこのへんで。

 

 

ミュージカル『マリーアントワネット』観てきました!!

博多座で開幕したからすごい「やっと見れた」感があった。

『エリザベート』『モーツァルト!』『レディベス』等手がけたご存知クンツェ・リーヴァイコンビの作品です。

原作は遠藤周作の『王妃マリー・アントワネット』。

 

キャストは以下の組み合わせで観ました。豪華ですよねぇ(しみじみ)

マリー・アントワネット:花總まり
マルグリット・アルノー:ソニン
フェルセン伯爵:古川雄大
ルイ16世:原田優一

--以下固定キャスト--
オルレアン公:吉原光夫
レオナール:駒田一
ローズ・ベルタン:彩吹真央
ジャック・エベール:坂元健児
ランバル公爵夫人:彩乃かなみ

 

 

では感想。ネタバレ三昧なのでご注意を。

(まず脚本の感想、その後は花總まりについて語りたいだけの人になってしまった。)

 

肝心の脚本ですが、

めちゃくちゃメンヘラな脚本じゃないか・・・

褒めてます。最初はびっくりしたけど、もはや素晴らしく完成されたメンヘラ脚本で、逆にすごい褒めてます。徹底された鬱展開。

 

全体として、面白かった。けど、キラキラ~して後味の良い作品ではないですね。

幸せな気持ちで帰れると思うなよ^^という制作側の意思を感じます。

なので、「面白さを見いだせた」という言い方のほうが正しいかも。

(宝塚作品を主に好む方は、肌に合わないと感じる方もいそう。宝塚は基本的に、極端なまでの非現実性の夢で全力で客を殴ってきて我々はあらがえる術なく幸せになりますからね・・後味の良くない作品でも最後のショーですべて救済し、我々は必ず幸せな気持ちになれるんですよね。本当に素晴らしいコンテンツや・・・。)

 

 

前情報できるだけシャットアウトして観る派なので、

てっきり「マリーアントワネットを、今まで何度も語られているイメージで描いて、それを豪華キャスト・舞台美術・音楽で彩り、まぁそれでは退屈なのでマルグリットという1つイレギュラーな要素いれてみた」な舞台だと思ってました。だってキャッチコピーが「私の愛はただあなただけのもの・・・」とか言ってるもん。いや全然合ってないよ内容と。

こんなしんどい舞台はなかなか無い。スルメにも程がある。

 

何がメンヘラなのかというと、

鑑賞者が、誰の立場に立って物語を観ればよいのか分からないところ。

というか、分かりようもないのです。

マリーと、マルグリット。富裕層と、市民。どちらの苦悩も、脚本全体のシェアとして、同じ量で描いてくるんです。

この時代の色んな舞台作品を考えると、『ベルサイユのばら』『レミゼラブル』『1789』等を比較して考えることができると思いますが、

どれも分かりやすいんですよね。誰の立場に立って作品を観ればいいのかハッキリしているので、そのキャラが奮起するナンバーで安心して盛り上がれるんです。

でも、『マリー・アントワネット』は、鑑賞者のスタンスがにっちもさっちもいかねぇ~~~(頭を抱える)ってなります。

だから、二人がぶつかりあうと、もう勘弁して・・・つらい・・・ってなっちゃう。

 

あと、もうひとつメンヘラ要素。市民が邪悪なところ。

原作がそうなのか演出でそうなったのか知らんけど、制作側が人間の良心とかそういうものに絶望してるなって感じました。

例えば、マルグリットは一般市民で、新聞を配って「みんな立ち上がろう!ベルサイユに行こう!」とか民衆に向かって言うんですけど、

市民は相手にしません。男も女も。これ、先ほどあげた他作品なら、絶対同調して、一緒にナンバー歌い上げますよね。

でも、日々の生活に手いっぱいな市民は、マルグリットをばかにして、まったく相手にしないんです。

で、マルグリットの協力者であるオルレアン(彼もまた自己の利益のために協力)が、金貨をばらまくと、手のひら返して「えっ行く行く!」となります・・・。

このマルグリットと市民の温度差、終盤ではダイレクトに描かれてます。暴力性をあらわにする市民に対して、マルグリットは反発して「自分の正義に従って」マリーをかばったりします。

とにかく市民が、たいへん残酷です。人間の根底ある、暴力性だったり無気力性だったり、そういう後ろ暗いものを、美談というオブラートに包まず、そのまま書いていました。

 

脚本の感想はこんなかんじ。この後ろ暗さを全くブレなく描いたのは、すごいなと素直に思いました。

自分なりに「ここがすごい」って要素を感じ取れれば面白い作品になりますが、そう転ばなければ「なんだこれ鬱!暗!」で終わってしまいそう・・という、あんまりこういう言い方好きじゃないですが、人を選ぶ作品かなとは思います。

もちろんキャストは豪華なので耳が幸せだし、リプライズがんがん利かせてミュージカルの王道構成ではあるので、一定程度は見応えあると思いますが。

あ、でもラストの締め方はさすがにお粗末だなと思っちゃった。もうちょいないんかーいと思ってしまった。

 

 

では、各キャストの感想。

 

 

●マリー・アントワネット(花總まり)

は~~~~~~~~~~~~~好き・・・・・。

女優・花總まりの、演技の力量がいかんなく発揮されてました。というかお花様の魅力を再確認できたというかんじです。

透明感のある少女の輝きと、喪失感をたたえた薄幸さ。これが一人の人間に同居している、どちらのオーラも纏えるところが、彼女の魅力だと思います。

『エリザベート』でいう、少女時代のシシィと、晩年の「夜のボート」以降の対比・・・本当に断絶なく、一人の人間が生きて年を取りそうなったのだと納得させられる繊細な演技です。

これと同じような体験ができます。革命前の華やかなりし宮廷で過ごし、フェルゼンとの愛を信じて、現実を見ようとせず夢の中で生きるマリー。一方で、子供と引き離されて、裁判にかけられるマリー。凄すぎて、ゾッとしました。

裁判にかけられ、息子とのいわれなき疑いをかけられる。それに対し、「いいえ。・・・答える価値もありません。」と、淡々と発言します。まわりの民衆が怒りに熱狂しているのに、その中心にいるマリーの雰囲気のギャップが、大変エモーショナルでした。

 

ナンバーもちょいちょい好きなのが。

♪孤独のドレス とか、フェルゼンとのデュエットとか。

一番好きなのはマルグリットとのデュエット。幽閉されたマリーのところに、スパイとしてマルグリットが侍女になって来て、「自分と違うというだけで決めつけないで」とお互いに相手を非難して歌うんですが。ほんとどっちもどっちすぎて、どちらも切実で。泣けます。

 

そしてかわいらしいお花様もたくさん見れた。幸せ・・・。ドレスよく変わります。バラをあしらった白いドレス良かった、ショッピングのシーンのやつ。あとプティ・トリアノンの白いワンピース。全員好きだろこんなん。

 

 

●マルグリット(ソニン)

パワフルな歌声。迫力ありました、さすがという印象。

この話の中で、一番孤独な人物です。

さきほど少し触れたように、最終的に民衆の振る舞い(人間の暴力性)に嫌気がさし、その時代の、自分自身の正義にしたがって行動します。一番孤独な人物ですが、一番誇り高い人物でもあると思います。

良いなと思ったのが、スパイとして潜り込む時や最終的に民衆から離反する時「女だから、同情するだろう」と非難され、またマリーからラブレターとされる手紙の受け渡しを頼まれる時「あなたも女性だから」と言われますが、マルグリットの行動は「女だからそうした」のではないところ。彼女は、人間という理性ある生き物として、その尊厳をかけて行動し、あの時代を生きたのです。女だから同情したのではなく、彼女の正義が、民衆の狂気的なふるまいを許さなかったという、ただそれだけ。フェルゼンがそれを見抜いていたというのも上手いです。

 

 

●フェルゼン(古川雄大)

いみわかんねぇくらい顔が良い。

いつも言ってますね、はい。言いたいだけ。スタイルも良すぎる・・・ロングブーツ死ぬほど似合う。

この作品のフェルゼン、好きです。一番愛情深いな、と思いました。

あのね、最初っからビックリするほどリアリスト。マリーが燃え上がってるけど、フェルゼンは冷静に「現実を見てください」と諫めます、全然かみ合ってなくて。蜜月とかなかったわ。キスひとつしない。まじか・・・みたいな。

そんな感じでず~~~っと、マリーを愛してるからこそ拒むんですが、最後に一度だけ、「らしくない」行動をします。マリーの子供たちは後で助け出すから、マリーだけでも逃げてくれと、獄中のマリーに懇願するんですが、マリーは「子供を置いて逃げるくらいなら、死を選びます」と拒否します。このときのフェルゼン、本当に、愛する人が生きることがなによりも一番大事だったのだと、すごくストレートな発想です。今まであれだけ離れようとしてたのに。そのギャップに涙します。そして、劇中で最後に相対したこの一度だけ、キスします。どんだけ泣かせるの。

全体的な演技も、『モーツァルト!』で主演やっただけあるな~~と、すごく成長を感じました。これからも楽しみです。

あ、カーテンコールではける時、マリー様のエスコートをする古川雄大、王子像として完璧すぎて、あれだけでも見る価値あります。

 

 

●ルイ16世(原田優一)

このミュージカルのルイ16世の描写が繊細すぎて・・・かつてここまでルイ16世にハイライトが当たったフランス革命の創作があっただろうか・・・。

なんたってソロナンバー持ってます。しかもその歌詞がね・・・ほんまええねん・・・。平凡な鍛冶屋として生きられたらどんなにいいか、という憧れを綴るんですが、最後に「誰でもない人間になりたい」って締めるんです。泣いていいか・・・。

ルイ16世って、この時代の創作だとどうしても愚鈍orただただ優しい人な描写になりがちで。それは王妃のキャラとしての濃さ故しょうがないんだけど。『1789』でもアルトワ伯にそそのかされて冷静な判断できなくなってたり。

でも、この作品では、ルイ16世もまた一人の人間で、自分の意志や願いを持ってるのだなと感じさせられました。

 

 

他キャラも色々言いたいけど、長くなりそうなのでこのへんで。

1回観たらおなかいっぱいかな~と思いきや、数日経ってじわじわまた見たいと思ってきました。追いチケしてしまうかも。