スパーで相手が技を受けてくれてるケース、何に気をつければ良いか
これまで自分が個別に相談されたりして、一定の効果があったことをまとめてみますね
~相手も人間、接触の種類に気をつける
これってスパー中意外と忘れがちなのですが、受けてくれる人にだって人権(!)があり、法的に保護された存在です。
大きく出たなと思われるかもしれませんが、最悪ヘンな事故でも起きたら、あなたが責任を問われる可能性もあります。
そこまで行かずとも、柔術をやる上での通常接触ならともかく、すごい勢いでぶつかられたり飛び乗られたり本気で折ろうとされたら、「オゥ??(怒」ってなるのが人間。
ボクシングジムのスパーでパンチくらってもなんともないですが(なんともなくはない)、体当たりされたり休憩中に肩パンされたら、これは悪意を感じますよね。
格闘技ジムだからって、どんな種類の接触でもいいわけじゃないのです。
「異性に触れるように」とか書くとキモくなるので書きませんが、格闘技って別に相手をガサツに扱う物じゃないですからね。
むしろ接触の種類に対して敏感でないのは、格闘技としてマズイです。
自分や相手がどこに触れてるか、どのように触れてるのか、これは柔術ムーブ中の超重要情報。
神経を研ぎ澄ましてしかるべき部分と思います。
~スパーは格闘技じゃない
やや語弊ある言い方ですが、スパーって「格闘技の練習」であって、格闘技ではないと思った方がいいです。
格闘技なのは試合です。
特に最初の数年は、ブラジリアン柔術という競技の定型応答を覚える事が大切で、あんま好きな言い方ではないですが、それこそダンスとかと同じくお決まりの約束事を覚える局面を優先させた方がよいです。
例えばこういう攻防。
もちろんすっごいレベル高いのですが、柔術の語彙としては定型の集合。
「こっちがこうしたら相手はこうくる、だからこうする」という定番やり取りの集積です。
できるかどうかは全く別の話で、まずはこういう定型応答の種類を、柔術全体で覚えていくのです。
定型の種類だけならそこまで多くはなく、3年くらいでおおまかな把握ができるのでは(多い)。
たとえば九九を覚えるとき、まず1の段の次は2の段とか、9の段まであるとか、そういう大枠の情報が先ですよね。
いきなり6×9だけをすごい筆圧でたくさん書くのは、何か別の才能は感じさせるかもしれませんが、九九の上達としては遅いでしょう。
定型のおおまかな全体を、何度も何度も回すのです。
細部に固執するのはもっと後です。
ちなみにこの定型を構成する要素の多くが、いわゆる「ベーシック」と呼ばれる技術です。
よく言われる「ベーシックをきっちりやるのが上手になる近道」とは、頻出定型の修得を優先し効率的である、という意味で理に適ってるわけですね。
~ヘンな圧とかいらない
「え?格闘技で大事なのはやっぱ圧でしょ?ヌルマゴとかプレッシャーすごいよ?」
はいそうですね、けど今やるべきは格闘技じゃないです。
格闘技の練習です。
歴浅い時期の圧って、なんか固い部分ですごく狭い範囲を「もしかして血流止めてる?」ってくらいグリー!ってして、「なんだろう、壊死させるのやめてもらっていいですか?」と言ってしまいそうなものが多くないですか。
そういう秘孔みたいな押し方って自分が動けなくなるし、下の人が本気でスイープすると簡単にコカされちゃうので、やらない方がいいです。
~習った技をたくさんやる
ちなみに正しい圧のかけ方は、個々の技紹介するときに先生が必ず説明してるはずなので、まずはそれをその通りにやってみるべきです。
ですので、ディティールを一通り把握している、とくに直近に習った技を繰り返し試すのは、記憶を正確に強化する意味でもすごくいいのです。
知らない&間違ったやり方を何度も試すのも、まあ人生色々あった方が深みが出るという意味ではアリかもですが、技術習得においては効率的でないですね。
~理想のスパーを持つ
お手本をいつも頭に描いておくのは、ジャンル問わず上達の近道。
なにか上手なスパーをご自身のバイブルにしてみて下さい。
自分はいつもこのスパーになりきって練習してました。
できる出来ないはとりあえず置いておいて、この達人感が大切です。
達人っぽく振る舞うと自然とかっこつけるので、ヘンな勢いはなくなります。
そして、どういう時にお手本と違って雑なのか、嫌でも意識するようになりますよね。
~長く続けるために
もちろんどこが雑なのか分かっても、すぐ修正できる訳ではありません。
修正にはある程度長い期間が必要でしょう。
その期間を確保するために、スパー相手を尊重するのです。
孤立すると道場に居づらくなります。
柔術の上手さ&強さは、一部例外を除いて、ほぼ「=練習時間」です。言いたい事分かりますね?
~技術へのリスペクト
そうやって動きの大事な部分をおぼろげながら掴み、そこを意識しながら色々スパーしてくと、「接触とかはすごくジェントルなのに、何されたか分からない!動けない!苦しい!タップ!」という人が必ず現れます。
最初のそれは、みなさんの先生であるかもしれません。
以前は「まあとにかく強い人なんだろう」程度だった認識が、具体的にどういう風に凄いのか、分かってくるようになります。
すると、なんともいえない吐息のような嘆息が「はあ~」と漏れるのです。
これこそが在籍歴やら帯色とも関係ない、「技術」へのリスペクトではないでしょうか。
次回は相手がある程度攻撃してくる場合、そして恐怖の「白vs白」の対処法について書いてみますね。(ちなみに対処法無いです)