久々に更新します。
といっても、おもしろいことも書けませんが…。
前回記事で海軍の大名士、有地十五郎中将のことを書きましたが、またネタを拾ってきたので御紹介します。
大昔の海上幕僚長に、中山定義海将というかたがいらっしゃいます。
この方の回想録に載っていた話です。
中山海将が帝國海軍時代、少尉で第2水雷戦隊旗艦軽巡洋艦「名取」の航海士であったときの話です。
昭和3年秋、大阪湾で行われた観艦式が終了し、各艦おのおのの定係港に帰投途中、潮岬沖にさしかかったとき、針路上の黒雲から海面に10本くらいの竜巻群が行く手を阻むように発生したそうです。
自然のことですから竜巻の動きは右往左往、それを避けんとして艦隊各艦も右往左往するという有様。
名取艦長は、有地十五郎大佐。
前にも書きましたが、経歴の大部分が海上勤務、「シーマンシップの権威」として認められていた方。
有地艦長はすぐさま無用の乗員を艦内に避難させ、艦橋要員おのおのに細かい指示を与えながら懸命に操艦されたが、結局、竜巻が艦に接近してきた。
艦橋内の物品が吹き飛ばされる事態となり、中山少尉は海図台の海図、定規類を両腕と身体で押さえるに懸命であったとき、突如、
「高角砲員、空砲用意」
と、有地艦長は号令されたそうです。
でも、竜巻が艦から離れて、艦が安全になったので、この号令は沙汰止みとなりました。
中山少尉はこの号令の意味がわからず、艦隊が竜巻群から離れて危機を脱したとき、艦長にさきほどの号令の意味を質問したそうです。
有地大佐は、「自分は何かの本に「竜巻に遭遇したら空砲を打てばよい」と書いてあったのを思い出したからだった」と答えられたそうです。
中山海将は、それからの海上武人としての経歴中、竜巻に遭遇することもなく、また、「竜巻と空砲の関係」に関する記事を発見できなかったそうですが、自分なりに「たぶん、空砲で気象上のバランスを破る意味なのであろうかとひとり合点して今日に及んでいる」と書いておられます。
大昔の船乗りのおまじない的なものなのか、それとも、何か科学的な根拠があることなのか?
「竜巻と空砲」の関係について、ご存じの方、いらっしゃいますか?