VF甲府の守護神といえば荻晃太。2009年に期限付き移籍で加入すると、開幕戦からレギュラーの座を奪取。それまでのVF甲府にはいなかったタイプで、積極的なプレーを武器に攻撃的なGKとしてチーム内での地位を確立した。
荻選手の持ち味は、甘いマスクで趣味は読書とスタバという好青年ぶりに隠された、闘争心を全面に押し出したプレーや積極的な飛び出しである。以前ヴィッセル神戸に所属していた際には、当時の監督にリベロのようなGKと称された。
VF甲府加入後の活躍は言うまでもなく、今季の粘り強い守備を語る上で欠かせない存在である。もちろん、今日まで続いている負け無し記録も荻選手の活躍(スーパーセーブ)によるところも大きい。
来季はJ1に昇格するVF甲府であるが、荻選手はチーム内でそれを最も心待ちにしている一人であると思う。それはリベンジの思いからだ。加入した2009年、荻選手はレギュラーを掴みながらもシーズン終盤の故障により、ゴールマウスをライバルの阿部謙作(現藤枝明誠高校コーチ)に明け渡してしまい、あの湘南戦も最終節もスタンドから眺めるしかなかった。翌2010年には怪我から復帰しシーズンを通してポジションを守り昇格に貢献する。だが、J1で迎えた2011年、三浦監督から佐久間GMに指揮が移るとレギュラーの座をベテランの荒谷弘樹(現大宮U-12コーチ)に奪われ、終盤の本格的な残留争いはベンチから眺めるしかなかった。荻選手は順風満帆のVF甲府ライフを送っているようで実はそうではない。VF甲府と同じように成功と挫折を繰り返して進化している選手なのだ。
来季のVF甲府は昨年とはまた違ったJ1ライフを送れるような感触があるが、それでも厳しいシーズンになる可能性はとても高い。でも、そんな時にはゴール前で声を張り上げているGKを見て欲しい。そこには、壁にぶつかっても乗り越えて続けてきた強くて格好いい漢がいるだろう。
【2012年11月4日(日)バス小瀬新聞 ロアッソ熊本戦号より】
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