私は数ヶ月前、芥川賞作家・藤原智美氏の講演を録音したCD教材を購入した。講演の中で、村上春樹の文体について述べたくだりがあり、とても印象に残った。今回はそれを紹介しよう。

藤原氏は、村上春樹の文体について以下のような旨を述べていた。「村上春樹の書物を読んだ人の中には、『自分でも書けそう』と思う人がいる。村上春樹の文体は一見簡単そうに見える。しかし実際に書いてみるとそれが簡単ではない。簡単そうに見えて簡単ではないのが村上春樹の文体の凄さだ」と。

この話を聞いて、私が思い浮かべたのは、芸人の江頭2:50だ。
私は以前から彼の芸風が好きで、いや、好きを通り越して尊敬しているのだが、彼は世間からちゃんと評価されていないなと思っていた。
江頭2:50の下品な芸は、一見簡単そうに見える。だが、実は簡単ではない。事実、あのような芸をする芸人はほとんどいないし、いたとしても続けられる芸人はいない。
江頭2:50の芸を真似られる芸人は他にはいないと私は前々から思っていた。そこにきて、村上春樹の話。すべてが繋がった。

「いやいやいやいや、村上春樹と江頭2:50を同列に扱うなよ」と、村上ファンは言うかもしれない。しかし、私はあえて言いたい。村上春樹と江頭2:50は同列であると。村上春樹が低いのではない、江頭2:50が高かったのだ。

このようなブログを書いても誰得にもならない。それにも関わらずこのようなブログを書くのは、簡単そうに見えて、実は簡単ではない。何が言いたいかは、読者の想像力に任せるとしよう。私はこれ以上筆を滑らせるのを止めておこうと思う。