私は販促物を作ることを業としている。いわばマーケティングツールの制作だ。
専門家として分かっているのは、いいツールは、いい戦略からしか生まれないという事実だ。
ターゲティングが間違っていればいいツールは作れない。価格設定が間違っていれば、商品が売れても利益が生まれない。集客商品選びが間違っていれば、お客様は集められない。コピーの書き方以前に戦略が重要なのだ。
そのため、マーケティング戦略上に欠陥がある場合、私は戦略にも口をはさむことがある。そうでなければ、売れるツールが作れないからだ。

先日も、戦略から修正する必要がある案件があり、あるクライアントに指摘と提案をした。結果から言うと、提案は受け入れられなかった。

私の窓口はある部署の責任者であり、仕事の依頼もその方からいただいた。だが、その方は社長ではない。一社員だ。窓口が社長かそうでないかの違いは実はとても大きい。
私の経験上、社員にどんなに提言しても無駄骨を折ることがほとんどだ。そのため私も、期待はあまりできなかったが、提言だけはしておこうと思い、会社にもお客様にも利益のある戦略を提言した。
社員は「仰っていることはよく分かりますし、その通りしたほうが儲かると思います。ですが、もう社で決まったことで変更ができないのです。一応、社長にも伝てておきますが…(多分無理でしょう)。出来ましたら、今まで通りの戦略を元にしたツールを作ってください」と返答した。

理解できない。儲かる可能性がそこにあるのに、なぜ変更できないのか。なぜ変更しないのか。いや、本当は分かっている。社内政治の歪みがマーケティングに影響を与えているのだと。珍しいことではない。よくある話だ。

私の経験から言えることは、「お客様より社長のご機嫌のほうが大事」という社内風土があれば、大抵こういう問題を抱える。お客様の利益や会社の利益よりも、社長のご機嫌取りが優先される。こういう企業の未来は明るくない。言われた通り、元の戦略をベースにツールを制作するが、私の提言したバージョンも一緒に提出するつもりだ。それで社長がどれを選ぶか決めればいい。

マーケティング担当者は、マーケティングだけをしていれば良いというものではない。新しく何かを試みる場合や戦略を変更する場合、社内や上司の同意が必要になる。社内でマーケティングが上手くいっていないと、市場に対してマーケティングを打って出ることができない。結局、社長の手腕に以上に大きなマーケティングは実行されないのだ。




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