万年筆をどう選んで購入すればいいのかと、ある女性から相談された。私はこうアドバイスした。「まずはお店に行って実際に書いて、書き味が気に入った物を数本選ぶ。次に、実際に持っている姿を外から見てもらい、自分に似合っている物を選ぶ。最後に価格やメーカを見ればいい」。
その女性が最終的に選んだのは、モンブランの万年筆だった。モンブランは高額な万年筆だが、彼女は喜んで購入した。

ここで大切なのは、モンブランだから購入したのではない、という点だ。似合う万年筆がたまたまモンブランだったのだ。
何がいい物かは人によって違う。良いか悪いかは、銘柄で選ぶものではない。また、価格で選ぶものでもない。

価値の分からない人は、「モンブランだから」と言って、銘柄や価格で選んで購入してしまう。この理屈は、服でもバックでも同じだ。ま、それはそれでいい。経済が回るのだから。

しかし、銘柄や価格で選んでいるうちは、本当にいい物には出合えないのだ。