優良企業として一時は注目されたワタミやユニクロが、今、ブラック企業として批判を浴びている。

ユニクロに限っては、反省するどころか今の姿勢を貫き通すかのような発言を柳井会長がしており、ネットでも注目を集めているようだ。







「年収100万円も仕方ない」ユニクロ柳井会長に聞く

http://www.asahi.com/business/update/0423/TKY201304220465.html?tr=pc









❙ブラック企業がメディアに露出するワケ





コンサルタントである私の考えを言わせてもらえば、ワタミもユニクロもメディアに露出し過ぎだ。本業の収益に直結する、新商品や新企画などのプレスによる露出は一向に構わない。しかし、ワタミフーズの渡邉美樹会長は、バラエティー番組にも出ている始末。柳井会長は、バラエティー番組とはいかないまでも、衣料販売とは関係しないTV番組で時々見かける。




ワタミやユニクロの会長が、事業とは関係のないメディアに露出するのはなぜだろう。もっと思考を深めて、事業とは関係のない経営本や自己啓発本を出版する理由はなんだろう。

考えてみて欲しい。仮に、出版した書籍が10万部売れたとしよう。印税なんて1,500万円程度にしかならない。柳井会長の資産や年収からしたら、しけた金だ。本業に専念しているほうが、ずっとお金になる。

ではなぜ、そうまでしてメディアに露出し、出版するのか。




理由は一つ、イメージアップの為である。イメージアップを図り、人材確保をするのが狙いである。

TVを見たり出版物を読んだ若者は、「いい会社だ。就職したい」と思い就職する。そして現実を目の当たりにする。あとはご存知の通り、退職、ひどい場合は、うつ病になり、会社を離れることとなる。




逆説に言うと、メディアに露出したり、出版したりしなければ、いいイメージを作れず、悪いイメージだけが残ってしまう。つまり、それだけ労働環境が厳しいのを物語っている。

要は、メディアを通じて化粧をしているだけのこと。




これは、ワタミやユニクロに限らない。事業とは関係のないメディアに社長が露出しすぎている企業は、注意したほうがいい。

私はメディアを通じて綺麗事ばかり言う社長を心底信じていない。綺麗事ばかり言って、社員を奴隷のように使う社長をさんざん見てきたからだ。

上辺だけの化粧はいつか剥がれ、素顔は必ずバレる。

まずは、社員からバレる。就職は、社員と会社の結婚のようなもの。結婚した相手に、いつまでもスッピン姿を隠すことはできないのだ。










❙経営手腕と人格は別問題





経営者として会社を発展させたことと、人格が優れていることは別問題である。社員を奴隷のように扱う社長でも、会社は大きくできる。

「そうは言っても、あの社長達は、社会に価値をもたらした人だよ。批判する人よりマシ」との反論もあるだろう。


その反論に対して私はこう言いたい。社会に価値を与えたことに比例して、社長の人格まで評価されるのはおかしい。 経営手腕と人格は別々で語らなくてはいけない、と。

もたらした価値は価値で評価する。私が着ている下着は、すべてユニクロであり、その恩恵を受けている。だが、それと社員に重労働を強いる社長の意識とは別の話だ。




社員を幸せにするのが、経営者として一番大切なことである。

社会貢献する前に社員貢献をすべきである。それをせずに社会貢献なんておかしな話だ。

社員を幸せにできない社長に限って、体裁を整えるために社会貢献を謳いたがる。社会貢献なんてしなくていい。社員を幸せにするのが経営者として一番大切な仕事なのだから。そちらを優先すべきだ。

メディアに出過ぎる社長も怪しいが、社会貢献を謳う社長も信用ならない。その前に、社員に対しての待遇を謳うべきだ。

メディアに露出し、社会貢献を謳う社長の会社は、極めて黒に近いと思ったほうがいい。




力を持った者は、力の大きさに伴い責任も大きくなる。

その力は悪用することもできる。しかし、人の上に立つ者はそれをしてはならない。それが力を持つ者の責任だ。











❙中小企業にも蔓延るブラック企業





今回は、有名企業であるワタミとユニクロを例に話をしたが、社員を奴隷のように扱う社長は、中小企業でもごまんといる。ワタミやユニクロに限った話ではない。




これを読んでいる読者が社員の立場なら、会社を選ぶ際は、社長が語る壮大なビジョンや綺麗事ではなく、現実的な労働環境や社員に対しての想いに焦点を当てて選ぶべきだ。

もし就職した会社が悪質な労働環境であれば、労働基準監督署に訴えるべきである。




また、読者が経営者であれば、これからの時代、隠し事は出来なくなる。いつでも誰でも情報発信のできる世の中だ。たとえ、過酷な労働環境を隠したとしても、元社員などに暴露されるのは時間の問題である。そしてそれが企業のイメージダウンに繋がり、人材確保も難しくなる。

今回のワタミやユニクロがいい例だ。このような例は、今後も出てくるだろう。そういう世の中なのである。











追伸:夢と希望の幻滅化





今回、ワタミとユニクロの労働問題がどうしてこんなにも話題になったのか。私が思うに、夢の幻滅化が原因なのだと思う。




ワタミの渡邉会長やユニクロの柳井会長は、メディアや書籍、講演会などを通じて、多くの人達に夢や希望を与えてきた。

「日本にも凄腕の経営者がいる」、「人徳のある経営者がいる」と。そしてそれを見聞きした人は、「自分もああなりたい」と夢や希望を抱いた。




しかしそれが、今回の労働問題で幻滅化したのだ。

「なんだ、やっぱり経営者って、裏で汚いことやっているのね」「あれだけいいこと言っていたのに、結局それかよ」と。

夢や希望を抱かせた分、そのしっぺ返しが大きくなったのだと思う。もちろんそれだけではないが、それも大きな一因を担っているのだと思う。

夢や希望を抱かせるには、それ相応の責任とリスクが伴うというのが、今回の件で学んだことだ。











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