梅の匂いひに誘われて青く晴れ渡った空の下で茶会をしたくてたまらんくなっておるサルだぎゃ

今年の3月11日は全国的に暑いくらいの一日になりゃあしたな

各地で、各々が、想いを馳せていたことじゃろう



今年は卯の年

十二年前、二〇一一年も卯の年でござった

あのとき産まれたお子は、小学六年生

物心ついた子らにとって、かの震災は生まれる前の出来事。実感の持てぬことであろう。しかし、皆で語り継いだことで、その子らにも確かに、その事実と、あの日皆で感じた想いは伝わっておる

十二支がひと回りするあいだに、いろんなことがおこりゃあした

自然災害、社会問題、感染症、戦争

環境が乱れれば、人の心も荒れていく

人の心が乱れれば、環境も荒れていく

この地、この星に生きるわしらにとって、それは抗えんことなのかもしれん

しかし、それでも、目の前にいる人の、家族の、友人の、仲間の、隣人の、そのためにわしらはよくあろうと抗い続けたい

それは現世でも戦国の世でも、いつも時代であっても変わらぬことじゃ

信長さまが夢見た、身分に関係なく、皆が自由に生きられる世、徳川殿が果たした、皆が安心して生きられる世、又左、虎之助、慶次、佐吉、直政、左近、半蔵、長親、政宗、実元、市蔵、畠山殿に早雲殿、武将だけでなく、名の残らぬ者たち、それに、わしらの時代だけでなく、清盛殿や龍馬、そして、現世に生きるおぬし、皆の望む泰平の世にするため、わしはわしらしく、地べたを這いつくばってでも、どんな困難に直面しようとも、生き抜いてみせる

そして、おぬしの前で笑って、泣いて、あたりまえの日常に幸せを感じられるよう、ひとつずつ、すこしずつ、近いところから笑顔の花を咲かせてみせよう

案外、ホトトギスを鳴かすよりも容易いかもしれんぞ?

わしの取り柄はこのどこまでも楽観的なところだでね

必ず、皆、幸せになるんだがね!



今宵も、あの日、あの刻、皆と歌い、皆と心通わせた想いを思い出しながら、「空」、「羽よ、魂となれ。」を口ずさもまい

では、またのぅ



太閤 空を渡っておぬしに届きますように 秀吉