清正名城録 秋のさやけさ皆の者、息災か。加藤清正である。此度は夏と共に城に出陣して参った。終始日輪が雲に隠れ、目にも薄暗く感じる日であったな。しかしながら午前は寺子屋の童共が城に詰めかけ、賑々しき一日と相成った。秋といえば、古えの歌人は寂しさを取り上げる事が多い。やはりこのような気候がそのような情緒をもたらすのであろう。「さびしさに 宿を立ちいでて ながむればいづこも同じ 秋の夕暮れ」物思いにふけるに適した、芸術の秋というのも頷ける気候よの。加藤清正