前田又左衛門利家也。



夏草や兵〔つわもの〕どもが夢の跡


尾張名古屋と姉妹同盟を結びし墨国〔メキシコ〕。

日ノ本より遥か遠き彼の地には、松尾芭蕉の句が刻まれし石碑が在るのを皆は知って居ろうか。


榎本殖民記念碑。


時は明治。

彼の地、墨国に日ノ本の民の一団。榎本殖民団が着陣致した。

倒れども倒れども、何度でも立上がり彼の地を開墾。

数多の苦難を乗り越えつつも、墨国の民との良縁な関係を築き、其の功績を残した。

在る民は芭蕉の句を読み替える。



夏草や兵どもの足の跡



墨国の民は親日の感情を持つ者多し。

榎本殖民記念碑に名を刻みし者等は、確と〔しかと〕後世に足跡を残した。

大儀。

思えば、我が生まれし荒子も元は荒れた地を我が前田が一族が開墾致し、人々が住まう処と成り、今でも我が故郷は現世の尾張名古屋に残る。

先人の苦労を思い、改めて今感謝致した。



墨国道中記。続 三日目。

朝餉〔あさげ〕での出逢いで身も心も温まり、戦仕度は整った。

愈愈〔いよいよ〕此度が墨国最後の戦。


此度の戦場で司会進行を務めし じゅん殿 は墨国と日ノ本、果ては伴天連〔英語〕の言葉を操り、我等と墨国の民との間を繋ぐ要。じゅん。

此の じゅん殿 が我等と話す時、訝しげ〔いぶかしげ〕な顔を見せる。



日ノ本。。。とは何ですか。


日本の事よ。


なるほど。昔の言葉は難しいですね。勉強します。



我等が使いし言葉は時に現世の民を困らせる。

然し乍〔しかしながら〕此の男、徳川殿相手に小気味の良きべしゃりでの共闘を果たし、実に〔げに〕天晴れな戦働きで在った。

次に向かうは日ノ本の言葉を教える学び舎。

生徒は、じゅん殿の後輩に当たるそう。

日ノ本の魂で在る皆様方の御言葉を頂けるだけで彼等は俄然奮起致します故、是非にと。

散々世話に成りし じゅん殿 の後輩で在らば、何を差し置いても参らねば。


うむ。何やら授業中。

鉄籠〔自動車〕に関する講義の最中で、此度は飲酒運転の際に発する罰金の事を教えて居った。


徳川殿は申す。

日ノ本の決まり事は厳しい。何故なら儂、徳川家康が規範を作りし故。

然し乍、此れも民の恙無き暮らしを守る為じゃ。

皆、良く学び、良く励んで居る。

大儀じゃ。

日ノ本で其方等に出逢える事を心待ちに致して居るぞ。


温かな言葉に皆、顔が緩む。

御返しにと覚えたての日ノ本の言葉で自己紹介を致してくれた。

生徒の無垢な心に触れ、何かに夢中に成りて取り組む事こそ、此の世で最も美しきものだと学ぶ。

生徒との交流に身も心も温まる。

ちいと風に当たろうと外に出でれば、其処には学び舎中の生徒が待ち構えて居った。

泣かせるのぅ。



皆、我等との交流を愉しんでくれた様じゃ。



思い出せば雪の如く、積もる話は尽きぬもの。



墨国道中記。明日へと続く。




CBCラジオ主催 武士語2018

熱烈鍛練中。

我等が武士〔もののふ〕の生きた証。

確と刮目せよ。


祭り男、一之助〔かずのすけ〕も待って居る。



わっしょい。



名古屋おもてなし武将隊 一番槍
前田又左衛門利家