前田又左衛門利家也。



名古屋城へ登城せし皆々、大儀ぞ。


秋鮭の美味成る季節。



我が好物も又、鮭の皮。


現世で高級魚と申せば九絵〔くえ〕が有名では在るが、我等が時代の高級魚と申せば鮭で在り、其の旨さに我等 武士〔もののふ〕は挙って〔こぞって〕虜に成ったものじゃ。

献上の品と致しても鮭は悦ばれ、太閤殿下も鮭が我が元へ贈られると礼状を出す程。

かく云う儂も、畳一畳の鮭の皮を寄越せば城と交換致すと口が滑る程に好物で在る。


鮭皮を炙りて酒の肴と致せば、此れ程贅沢な時は無い。


今の世では安価に手に入ると聞くが、我等が時代に想い馳せ、秋鮭を食し大名が気分を味わう事許す。



人間、腹を満たせばそうそう悪は成さぬが故に食欲の秋を存分に愉しむが良いぞ。



尾張名古屋のなごやめしも忘れずに。






名古屋おもてなし武将隊 一番槍
前田又左衛門利家