前田又左衛門利家也。



名古屋城へ登城せし皆々、大儀。



此度の城は、平日為れども賑やかし。

金曜日で在るからか。

否、我等が御大将御館様〔信長様〕御出陣で在りし故。



〔御館様〕



総大将御館様は当日募集の名古屋城案内〔名古屋城ツアー〕に励まれあそばされ、儂はと申せば城守り。

差し詰め脇大将と致す処。

御館様と並びての公務。嘗ての儂からは想像も致せぬ役回りに、微力乍〔ながら〕も役に立ちたき思いに駆られ、名古屋城案内を盛り上げるべく声を飛ばす。

までも無く、昼の御出陣には三十名程の客人が集うたそうじゃ。

流石はと申すべきか。当然と申すべきか。

何れ〔いずれ〕にせよ、参陣致した皆々。大儀。


此れよりも、粒揃いの武将陣が各々の観点で名古屋城を案内致す。

名古屋城天守台を築きし清正は、築城の知識を余す事無く披露致すで在ろう。

又、水攻めや兵糧攻めを得意と致した秀吉は、墨俣一夜城に習う奇想天外な土木の知識を披露致すで在ろう。

儂はと申せば、如何様に名古屋城を落とすべきか日々思案致して居る。

難攻不落と名高き名古屋城。

我が愚息、利光〔利常〕も石垣造りに参加致した。

持てる知識を余す事無く、皆々と共に名古屋城の強さの秘密を探って参るぞ。

誰に当たるかは当日迄の楽しみと致す処。

是非、当日募集の名古屋城案内に参陣致せ。



陣笠隊 章右衛門〔しょうえもん〕も、名古屋城検定に向けて励んで居る。

我が甥、慶次郎は明日、名古屋能楽堂にてなごや万華鏡落語に出陣。

叔父は静かに武運を祈る。

慶次郎。華やか為る空気で皆を圧巻致せ。

参陣致す皆々には、儂からも礼を申す。

単騎での出陣。奴も本当は心細い筈。

皆の存在が緊張を解す〔ほぐす〕故、声を飛ばしてやってくれ。



明日は名古屋城出陣。

二之丸広場にて又、逢おうぞ。

演武来客千人に向けて、集えや皆の衆。

名古屋城で待っておる。





名古屋おもてなし武将隊 万華鏡の叔父
前田又左衛門利家