前田又左衛門利家也。



名古屋城へ登城せし皆々、大儀である。


普段五名以上で披露致す演武〔パフォーマンス〕を、我が甥 慶次郎、陣笠隊 踊舞〔とうま〕、陣笠隊なつ、そして、儂。

此の四名で軍義を重ね、変則的である四名布陣で披露致した。

素直に申せば、愉しき刻〔とき〕であった。

主等が少しでも儂と同じ気持ちを味わって居れば幸い。

否、主等が愉しき刻を過ごしてこその演武じゃ。

未だ足らぬ事が多いのも事実。

然し乍〔しかしながら〕、名古屋おもてなし武将隊の新たな形に繋がる演武でもあった。

陣笠隊の太鼓と、前田家の槍が宙を舞う。

未だ未だ夢は尽きぬもの。

幾つに為れども挑戦致す其の心は忘れたく無いものじゃ。



初めて我等を目に致した皆々、儂は主等の顔を覚えておる故、再び逢いに参れ。

もし、此の命を守り主等と再び逢えたの為らば儂は嬉しく思う。

声飛ばし、汗を飛ばして、主等に想いを発しておる。

受け取れ。熱き想いを。

小さき悩み事も吹き飛ぼうて。







さぁ、此よりは儂が四百年前より残した言葉を紹介致す。

題して、



又語録



此度の又語録は此方。


戦場に出でては、我が思うようにして、人の言うことを聞き入れぬが良し。


主等の真っ直ぐな其の瞳を想いて。

刻〔とき〕に世の中が歪んで見える事がある。

真っ直ぐ生きてこそ、其の分多くの壁に当たる事がある。

然し乍〔しかしながら〕、己が正しいと思う事、此れが形に成るまでは決して諦めるで無いぞ。

普通と申す言葉は、他人事でしか無いのだから。

最後の最後は、真っ直ぐな其の瞳が何ものにも勝るのだから。

戦場に出でては、我が思うようにして、人の言うことを聞き入れぬが良し。

信じる事が怖いと思いし刻は、此の言葉を思い出せ。

儂の言葉が小さき勇気と成ろうて。

淋しさに震えずとも、歯を食い縛らずとも、握った拳から血が滲まずともよき世に致したい。



皆の衆、真っ直ぐ生きよ。





さぁ、明日も演武じゃ。

皆の登城、待っておるぞ。





名古屋おもてなし武将隊 織田家一番槍
前田又左衛門利家