毎度御馴染み、流浪の企画、忍術倶楽部の御時間がやって参りました。





 さて此度紹介するのは、「かん谺(か)の術」。



 かん谺とは山びこの意。

 味方を裏切った様に見せかけて敵を欺く術。主君の命を受けた忍びが使う術で、敵を欺く目的の他、味方の中に敵方への内通者が居ないか探る目的にも使用されたと云う。

 「敵を欺くにはまず味方から」と今でも使う事はあるかの?
 かん谺の術は、そうした考えに沿うものである。



 兵は詭道なりと申して、騙しの術は戦国の世に大いに活用された。

 それは殺伐としたものでもあったのだが、戦国の世の終わりに伴い忍びの技も本領を発揮しなくなってゆく‥‥。





 だが‥‥‥、





 例えば誕生日に本人に内緒で贈り物を用意して喜ばせるなどという行為も、相手の予想を裏切るものであるからある意味騙しの術。





 そう思うと、現世にも忍びの技術が形を変えて通ずるものがあるのやも知れぬ。





 術、呪(まじな)いの類いも何事も使いようにより、斯くも人の心温かくするのであろうな。


清正