家康である。
儂等と皆とは
ちと操る言の葉が違うで
距離を感じることがあるが
それを解消すべく案を講じた。
そう、儂直伝のモノノフ言葉講座じゃ。
では最初は、
花見やその他の場面で使える一言を
皆に進ぜよう。
「一つまいろう~まずは一杯~」。
例文:
「鈴木殿、やっとかめぶりじゃなぁ。一つまいろう!」
意味:
「鈴木さん、久しぶりですねー。まずは一杯いきましょう!」
何ということはない言葉なんじゃが、
妙に心惹かれるもんがある。
「一つ」とは盃の一杯、
「まいる」は飲むの尊敬語じゃな。
簡単に云うと
最初の一杯を勧める言葉じゃ。
おたがいにシラフであるから、
注ぐほうも注がれるほうも
まだ「ピッ」「シャン」としておる。
姿勢も心も崩れていないところで
ちいと儀式めいた「まず一つ」
のやりとりがなされる。
何十年、何百年飲んでいても
酒飲みにとっては
これから始めるという新鮮さが
いちいち嬉しい「一つまいろう」は、
そんな雰囲気に丁度良い、
どこか厳粛な一言である。
「ビールは最初の一杯」という呑んべえは
現代でも多いようじゃが、
どうしてどうして、盃の最初の一杯にこそ、
飲み交わすことの悦びがある。
皆もそう思わんか?
同意が得られたのであれば
皆との心の距離も縮まったであろう。
儂「秀吉殿!この後、一つまいろう。」
秀吉殿「喜喜ーっ!それはよいっ!」
徳川家康
※本日は儂等の連弾番組初日じゃ。
電波上での援軍、頼んだでなぁ。