又左じゃ。



今日もほんにええ天気であったな!




ところで!


皆は「村井長頼」


という男は知っておるかの?





わしの人生最初の家臣だわ。




14歳からわしに仕えとるやつであるわ。




あやつのことは「又兵衛」


と呼び、常にわしの側におった。





わしの心には

又兵衛の言葉がよく残っとるんだわ。







あれは賤ヶ岳の戦いにて




秀吉が大垣より半日で賤ヶ岳まで大返ししてきよったんだわ。



すごいやつよ。「秀吉は天狗か?」と申す者までおる始末…




佐久間勢が蹴散らされ、

前田軍に対し、援軍を要請してきたんだわ。




わしは家臣の制止を振り切り戦う気であった…



だがそうしとる間にも、前田軍に向け鉄砲の雨あられ…




次々仲間が討たれてゆく…



見かねた又兵衛に



「殿!一生に一度でよい!一度でよいから、でかい声で
負けたーー!!と叫び逃げましょうぞ!
さすればわしは嫁や倅に会えるというもの、
殿もまつ様に会えるというものにございましょう!」


と言われてのぅ。




わしの中にあった

戦場から逃げたことは一度もない




という誇りを消し去ったわ。





又兵衛の言葉がなければ

羽柴隊にぶつかり

前田軍は皆死んだやもしれん。




さすれば、まつを始め、家臣らの家族にも悲しい思いをさせてしまうとこであったわ!






「村井長頼」
とは、わしを助け
荒子時代より生涯をわしに預けてくれた男なのだ。





是非皆にも知っていただきたいのー!







では本日はこれにて御免。





前田 又左衛門 利家