『健康情報局』
− 怒りの傾向と対策は? −
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うまくいかないことが続くとイライラして、人に八つ当たり。
そうするとまた、イライラすることが起きて……。
怒らなければもっとラクになれるのに。でもそんな方法、あるのでしょうか?
●怒るのは悪いこと?
程度の差はあれ、「怒り」は誰でも抱く感情。でも、怒りたくて怒る人はいません。
小さなことでついイライラ、ムカムカする自分に疲れたり、
怒りにまかせて言った言葉や行動のために失敗したりと、
怒りに悩まされている人は多いのではないでしょうか。
怒りは本来、自分に被害を与える人や物事と闘うために備わった、人間に必要な感情です。
ただ、複雑な現代社会では怒りをぶつけた結果、人間関係を損ねたり、怒りが長引き悩むことになりがち。
怒るのは悪いことではありませんが、怒りをコントロールすることは、
スムーズな社会生活のためにも、心身の健康のためにも大切です。
●怒りを長引かせない方法
怒りの原因はさまざまですが、怒りを素早く手放し、長引かせない方法は共通しています。
まずは呼吸で怒りを落ち着かせてから、怒りを手放すステップに進みましょう。
●怒りが落ち着く「逆腹式呼吸」
心に余裕がない時は、呼吸も浅くなりがち。
腹式呼吸と逆の「逆腹式呼吸」を行えば、呼吸が深くなり、イライラが次第におさまります。
<息を吸う時にお腹をへこませる>
鼻からゆっくり息を吸いながら、お腹をへこませます。
すると横隔膜が下がり、腹部の面積が狭くなります。
<息を吐く時にお腹をふくらませる>
口からゆっくり息を吐きながら、お腹をふくらませます。
こうすることで横隔膜が大きく広がり換気量が増えます。
●相手に怒りの原因を伝える
怒りを長引かせないためには、自分の気持ちを相手に伝えることが欠かせません。
目的は相手をやりこめることではなく、自分が被害にあった状況を変えることです。
コツを押さえて話せば、人間関係を悪化させずに怒りの元を取り除くことができます。
<強く言わず優しく頼む>
言葉に「あなたが悪い」という思いが出ると、相手は脅威を感じて防衛や反撃をします。
「なんでそんなことをするのか」と責めず、「そんなことをしないでほしい」と依頼の形にすると受け入れやすくなります。
<「私」を主語にして話す>
「あなたは〜」という言い方は相手の否定につながるため、相手は自分を守ろうとして非協力的になります。
「私は〜」という言い方で伝えるのが、協力を引き出すカギです。
<余計なことを言わない>
怒りにまかせて話すと、相手への評価や過去の怒りなど、つい不必要なことまで言いがち。
相手に言うのは「どうしてほしいか」に絞り、具体的に対応できることを伝えましょう。
●それでも変わらない場合は
怒りを相手に伝えたからといって、必ずしも状況がよくなるわけではありません。
その場合は、関係の薄い人に対しては妥協するなどメリハリをつけることが大切です。
また、「今は変われない時期なんだ」と長い目で見ることも、
変わらない相手への怒りを手放すために役立つでしょう。
「サワイ健康推進課」より
今日のいい話は
− ドキドキとメソメソ −
でござる
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「ドキドキしたりメソメソする」
とうちの子どもが教えてくれた。
彼はそのとき小学校に上がりたての六歳で、
僕は職場の異動やなんやで結構ばたばたしていた。
そういう春の季節のことだった。
一人目の息子は活発でおしゃべりな子で、
こちらがきかずとも、夕飯のときなどに日々の出来事を逐一教えてくれるけれど、
次男坊である彼は無口とまではいかないが、どちらかといえばおとなしい子だった。
だから僕や妻は、息子をことさら子ども扱いせず、ごく普通の会話を通して、
毎日の暮らしぶりをうかがうようにしていた。
「ドキドキしたりメソメソする」という話は、
ふたりで一緒にお風呂に入って世間話のようなものをしているときに持ち出たものだった。
僕は身体を洗いながら「どう、学校は楽しい?」と質問した。
小さな身体を湯船にひたし、神妙な面持ちでしばらく考え込んだあと、
「ドキドキしたりメソメソする」と丸くてあかいほっぺの持ち主はそう答えたのだ。
ドキドキとメソメソか。どういうことだろう。
ドキドキ緊張して思うようにいかず、不安でメソメソする、ということかな?
つまり、息子はあまり学校生活を楽しめていないのだろうか。ドキドキとメソメソ。
僕だってそうだ。新しい仲間たちと新しい仕事に取り組んでいかなくてはならない。
大人だってドキドキしたりメソメソする。
僕が先走ってそんなことをぼんやり考えていると、
彼はまだ言い終わっていなかった残りの言葉を教えてくれた。
「知らないことがいっぱいだからドキドキする。まだぼくは知らないからメソメソもする。でも知らないことって楽しい」
親ばかだと言われそうだけど、僕は純粋に感心した。
未知の世界を息子は楽しんでいるし、楽しもうとしているのだ。
まるで小づちでコツンと頭を打たれたように冴えた気分になった。
こりゃあ僕も新しい仕事をがんばらなくちゃな、などと思いながら、息子のいる湯船につかった。
作者不詳