今日のいい話 − わたしのふるさと −  | 武士が語る 名言・格言

今日のいい話 − わたしのふるさと − 

今日のいい話は

− わたしのふるさと − 
でござる
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「ふるさとは遠きにありて思ふもの」
という詩を読んで、胸が熱くなった。

わたしは自分の生まれ育ったふるさとが嫌で、町を出た。
そこら中の時間が止まっているようで、なにもかもが色褪せて見えた。
同じ言葉で会話をしているはずなのに、誰とも話が通じ合わなくて、
もちろん、心なんて通うわけもなく。

わたしには夢があった。
でもその夢はわたしの住む町では叶わないものだった。
わたしは町を出て、都会へすすんだ。

両親は寂しげではあったが、臆面もなく送り出してくれた。
弟は「家は俺がなんとかするからさ」と励ましてくれた。
せめて毎日を感謝して一生懸命に暮らすことが恩返しだと日々を送った。

都会にはいろんなものがあり、
当たり前みたいに、わたしのふるさとに関するものも溢れている。
ふるさとの郷土料理や名産物がお店にあって、みんなを賑わせたり喜ばせたりしている。
みんながあの町についてほめている。
本当はそんなにいいところでもないんだけどな、
なんて思いながらも、少しだけ、ほんの少しだけ嬉しくなる。

今もわたしはなんとか夢を叶えながら、
遠くの町で暮らしている。

おいしいご飯があれば家だろうか。
温かい寝床があれば家だろうか。
わたしはあの町が嫌だ。
でも、わたしはふるさとを思い、泣きそうになっている。

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