今日のいい話 − 高速道路のお花屋さん −  | 武士が語る 名言・格言

今日のいい話 − 高速道路のお花屋さん − 

今日のいい話は

− 高速道路のお花屋さん − 

でござる

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その日は、子供会の遠足でした。
小学生の娘が帰宅するなり、 「お母さん、いつもありがとう」 と、私にカーネーションをくれました。
その日は母の日。 「あら、ありがとう、キレイね」 と言って受取りましたが、
それに答える間もなく、 今度はお風呂場へと走って行きました。
「どうしたのだろう?」と見に行くと、珍しいことに掃除を始めたではありませんか。
あまり大きな声で言えませんが、家の手伝いなど普段あまりしてくれません。
それなのに……。

夕食の時、
 「さっきは、お風呂掃除ありがとう。どういう風の吹き回し?」 と、
少しからかうように訊ねました。すると、娘は目を輝かせながら話を聞かせてくれました。

遠足の帰り道、休憩で高速道路のサービスエリアに立ち寄った時の事。
その中に花屋さんがあり、娘はカーネーションの花束が目に留まったそうです。
花束には、カスミソウがあしらってありました。 娘は、母親である私が
カスミソウが大好きなことを知っていたのです。

そこで、母の日のプレゼントに買って帰ろうと思ったようです。
値札を見ると、1200円でした。でも、財布には、1150円しか残っていません。
 遠足に行くために、特別にあげた2000円のお小遣いの残金です。
あきらめきれずに、娘はバスの出発時間ギリギリまで、
カーネーションの前で見つめていたそうです。

 すると、お店のお兄さんに声を掛けられました。
「母の日のプレゼントかな?」
「はい」
 「ひょっとしてお金が足りないのかな?」
娘は、お金を財布から取り出して、50円足りないことを話しました。
するとお兄さんは、 「じゃあ、足りない分は僕が出してあげるよ」 と言ってくれたのです。
驚いて顔を上げると、お兄さんはニッコリ笑って花束を差し出して、こう言ったそうです。
 「でも、その分、お母さんのお手伝いをするんだよ」

お兄さんは不足分のお金を出して下さっただけでなく、
そんな温かな一言を添えてくれたのです。
後日、改めてお兄さんにお礼を言いに、
花屋さんへ行くつもりです。

作者不詳