日本という国を想像すると、江戸時代までは農業中心の社会で、明治維新をきっかけに近代化の道を辿った。というのが大体の人の日本像ではないかと思います。
 
 江戸時代では、何年か前までの高校の日本史教科書の、「江戸時代の職業別人口比」を調べてみるとわかる通り、農民76%武士10%町人8%その他6%となっており、農民が圧倒的多数を占めています。つまり、江戸時代が農業中心社会だと考えるのは正しいように思われます。
 しかし、このデータの元となる資料には、農民ではなく、百姓が76%と書いてあることがわかります。百姓というのは一般に農家をさすという考えが広まっていますが、商工業に携わる人も百姓だというのが事実です。つまり、教科書を作る専門家ですら「百姓=農家」という間違った考えをもっていたということがわかります。
 実際の江戸時代というのは、確かに幕府による年貢の徴収により形として農業社会を強いられていましたが、事実地方都市では商工業が盛んであったという資料が多く残っており、江戸時代を農業中心社会だと言い切るのは適当ではないといえます。

 というような内容の本で、ちくま学芸文庫『日本の歴史をよみなおす』網野喜彦はおすすめです。日本史が好きな方もそうでない方も、一度は目を通して損のない内容だと思います。

 ここからは自分の話で、「日本ってどんな国?」ということを考えたとき、上記のように間違った考えをもつことは多いにあり得ると思います。そこで今の日本ってどんな国かという話をする訳ですが、国を代表するものとして「文化」というものをよく話題にしますが、その際「日本の文化は薄れつつある」というような話をよく聞きます。日本は欧米のものを取り入れてばかりで日本の伝統文化を等閑にしている。だから日本の町には文化を感じられないとも聞きます。
 果たしてそうでしょうか。文化ってその国のみによって作られるものではないと思います。日本語だって元は中国の漢字から作ったものですし、室町時代に確立した多くの伝統文化の中にも少なからず他国の影響を受けたものもあります。京都の町並みも、東京のオフィス街も日本の町並みであり、文化なのではないでしょうか。
 日本の文化について、経済学を専攻しているような大学生がとやかくいえるようなことではないと思いますし、自分の考えも間違いの一つであるかもしれません。ただ、今ある日本の姿こそが日本なのだから、それを恥ずかしいと思ったり、他国に劣る文化だとは思ってほしくないと思います。そういう意味で、日本という国に誇りを持てる社会になっていけば、もっと未来は明るいものになるのかなぁ、なんて思ってみたりします。