その昔


摂食障害になりたての頃


ペットに焼き餅を焼いていたことがある


存在しているだけで皆を和ませ

皆を微笑ませ

皆に愛されて


皆を困らせてばかりいる

私とは正反対の存在であり

そのポジションを

焦がれるように求めていたの


いるだけでいいんだよ

そんな風に思われたかったの


長い長い時を経て


自分がそんな気持ちを

男性に対して抱くとは想像もしていなかった


素っ気ない態度と

険しい表情に

凹むことが殆どだけれど


京の都に生息している

あの人の存在が

ともすれば横道にはぐれてしまいそうになる私を

軌道修正してくれる


困ったな


嫌いになれたら楽だけど

忘れたくないと

地団駄を踏むわたしが存在している


あの人に恥じない私でいたいと

殊勝な気持ちにさせられている


あの人が

ただ 存在しているだけで