毎日、通勤でバスを利用いただいている女性で、乗務員に対する好き嫌いがハッキリしている方がいるんです。顔の感じが女優の柴田理恵さんによく似ている、50代の女性客です。私は、柴田理恵似さんと呼んでいます。

5年程前、朝の通勤時間帯のことです。あるバス停の手前を、必死に走っている女性がいました。よく見れば、柴田理恵似さんです。乗車するのはわかっていたので、バス停で待っていました。そのことがよっぽど嬉しかったんですね。それ以来、いつもニコニコ、フレンドリーなのです。そして、アメやキャラメル、チョコなどお菓子を、頻繁にいただくようになりました。

他の乗務員の話によれば、お菓子をもらえるのは、好かれ組の乗務員になった証なんだとか…。嫌いな乗務員には、お菓子どころか、冷たい視線を送ってくるそうです。帰りのバスが嫌いな乗務員だとわかると、1本遅らせることもあるようです。徹底しています。(笑)

ある日、駅の待機場で休憩している時、バスの横を通りかかった柴田理恵似さん、私に気づき、話しかけて来たことがありました。乗務員に対する、長年のいろんなグチでした。

話を聞いていて、わかったことがあります。彼女の好き嫌いの基準は、人情なのです。彼女は、長年バスに乗っていますから、他のお客さんに対する乗務員の対応もよく見ています。バスをより安全に運行させるために、乗務員のいろんな規則があることもわかっています。でも、何もかも規則に従う、マニュアル人間が許せないんです。時と場合によって、臨機応変に融通を利かせてほしいいんです。

今までのグチを、一気に私にぶつけてきた感じです。乗務員の好き嫌いがハッキリしている、柴田理恵似さん、しっかりとした考えを持っていたんです。私は、そんな話を聞いてあげることしかできませんでした。

バス運転手は、常に、いろんな場面で規則と人情の狭間で揺れ動いているんです。逆にお客さんの立場になれば、柴田理恵似さんの言っていることは、ごもっともなことばかりです。難しいところですね。

そんな事があってから、いただくものがお菓子だけでなく、時には缶コーヒーやお茶などもいただくようになりました。好かれ組の中でも、上位にランクアップされたようです。(笑)


今日は大雨、長靴で出勤しました。