今日、午前8時に駅を出て15分ほど行った、あるバス停に到着したときのことです。
 
毎朝、ここで何人かの若い知的障害者が、バスを降ります。彼ら彼女らは、降りる際、障害者手帳をしっかりと見せ、「カードでお願いします」とか、「半額でお願いします」、「割引お願いします」と言ってくれます。私たち運転手は、一人一人の障害者手帳を確認し、手動で半額になる割引操作をタッチパネルで行います。その後、カードリーダにタッチしてもらいます。
 
その日も、知的障害者8人が、いつものように半額料金で降りていきました。彼ら彼女らに続いて、最後に50代の中年女性が、降車口に来ました。その女性、ICカードだけを私に見せ、「カードでお願いします」と、先に降りた障害者たちを真似て、同じように言うのです。でも、障害者手帳の提示がないので、一般のお客さんだと判断し、「どうぞタッチしてください」と言うと、「なんで私だけ半額の割引してくれないの」と、強い口調で怒り出しました。
 
バスに乗り慣れてなくて、勘違いしちゃったんですね。先に降りた知的障害者は、軽度なので見た目ではわかりません。一般のお客さんに見えたんでしょう。だから、同じように言えば、半額になると早合点したのです。よく説明し、納得してもらいました。そして、カードリーダにタッチしてもらい、画面で210円の料金が208円に割り引かれていることを確認してもらいました。一般のお客さんの割引です。当然ながら、半額にはなっていません。
 
それを見た中年女性、「たった2円だけ―」と、ぼやきながら降りていきました。はっきり物言いする女性です。(笑) 私の会社は、赤字路線ばかり抱えています。運賃を値上げしたいくらいです。ICカードのお客さん全員の運賃を半額にしたら、私の会社はすぐにつぶれます。(笑)