私の旅は基本ひとり旅だ。旅先の地元の鮨屋(有名店)に入るのがマストな楽しみです。地方の鮨屋に入ると、私が初見であることから当然ながら、まずは『どちらから?』と板前は聴く。“東京”(本当は神奈川)と答えると次に『こういうところはよく行かれる?』(自分の店が高級店という自覚から“こういう”と言うw)と聴き、“まぁ行きますね”と答える。すると、そこから、板前は気合が入ったように見えて、ツマミやスシ1カンごとにやたら“説明”が入り出す。時折、『東京ではどうですか?』と比較を気にすることを口にしたりする。地のモノを珍しがり褒めると、たいそうご機嫌になるのがちょっと可愛げだ。退店時に“いつになるかは分からないがまた”などと告げるとけっこう嬉しがる。あまり、こちらが居丈高になったり自慢げになったりしないことが肝要だ。地元民のプライドはけっこう高い。そのために、酒を呑んで酔っていい気分で、つい口が滑る失態を犯さぬように気をつけている。私はこの楽しい来店をするために、旅館には泊まらずにビジネスホテルにもっぱら宿泊する。最近気付いたことだが、朝食のホテルバイキングは利用せずに、コンビニのおにぎりとカップ味噌汁を買ってきて部屋で食べることの意外な美味さとリーズナブルさを実感してちょっぴりうれしい。