しばらくすると、
サラリーマン風の男が二人入って来た。
カウンターの真ん中に座る。
常連らしい二人は女将と親しそうに話す。
私は聴く気も無いのだが、必然と会話が耳に入り、いつの間にやら話しに夢中になっていた。

どうやら常連の一人が女将に惚れているようだ。
気に入られようとアタックする常連だが、女将はちょっと澄ました笑顔でサラッと交わしてしまう。
私はカウンターの端に座り、ビールと料理2品を注文した。
女将はグラスを私に渡すとスッと瓶を持ち注いでくれた。
見慣れぬ私にも品の良い笑顔で対応してくれる。
私の心が揺らぎ始めていることをまだ気付かなかった。
街の灯りが恋しい、今日この頃
わざわざ少し離れた街まで出掛けて、
当てもなく、只ぶらついてると一軒なんとも寂しい赤提灯の店が、ぽつんとあるではないか。
私が中に入るとそこには、カウンター10席程とテーブル席が2卓だけの昭和の香り漂う小さなお店。
「いらっしゃい」っと声を掛けられ、見回すとカウンターの奥から和服の似合う女将が出て来た。