「国外追放?治外法権?」頭はもうパニック。
しかし、怪しまれてはいけないと、出来るだけ平静をよそおいながら、
しかたなく私はおばさんに従い、駅員室らしい部屋へと引っ張って行かれた。
中では、厳しい顔をした制服の男がモニターを指差し、待ってましたとばかり、
私に向かって何かまくし立てた。
とんでもないことに巻き込まれたのか。
泣きそうになりながら見たモニターには、長方形で先にもう一つ小さい長方形がついた物体が映っていた。
一瞬何かわからなかったが、気づいた。
「ビンだ。それもただのミネラルウォーターのビン・・・」
なんでこれがいけないのか。
ビンは中国では危険物なのか?
制服のおばさんが言うことがようやくわかってきた。
どうやら火炎瓶かなにかと勘違いしているらしい。
なんとかビンだと説明すると、おばさんと制服の男は連れ立って、
私のかばんの方へ向かい、いきなりかばんの中身をひっくり返し始めた。
びんが取り出された。慎重にふたを開けると内容物の匂いをかぎ、
ふたりは納得の行かない顔で互いを見ると、ふたを閉めた。
「大の大人がびんごときに何やっとんねん!」と悲しい気持ちになってきた。
制服のおばさんは、乱暴にびんと引っ掻き回した荷物をかばんに押し込めると、
それを私に押し付け、さっさと行けといわんばかりに手で私を追い払った。
「なんで!?謝罪は無し?周りから白い目で見られ、辱めを受けたあげく、この対応は何・・・?」
私は中国を嫌いになりかけた。
カルチャーショックは綺麗事ばかりじゃないんだと自分にいい聞かせ、
ようやく、一時はくぐることが出来ないと思われた改札を抜け、ようやく仲間のもとへ歩み寄った。
うなだれる私に仲間2人は
「いいショーを見せてもらった。」と一つも心配するそぶりもなく、愉快そうに笑った。
「強くならなければ・・・」私は固く決意した。
終わり 恥