10/25 寒く温かい日 | アストルティアを歩く男

アストルティアを歩く男

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今日は雨。
朝から土砂降り。

俺はいつもの様に自転車に1歳10ヶ月の子供を乗せて保育園に向かう。

途中に屋外で販売しているお弁当屋さんがある。
安くて美味しそうだが俺は一度もそこで買ったことがない。

何故なら会社の中に社員食堂もあるし、嫁も1ヶ月に一度お弁当を作ってくれる。
1ヶ月に一度くらい・・・。


何より社員食堂で安く暖かい物を食べられるのに、わざわざお弁当を買う必要がないのだ。


そこのお弁当屋の60歳くらいのおじちゃんはいつも通る度に子供に満面の笑みで手を振ってくれる。

「いってらっしゃい~」
「可愛いね。バイバイ~」
「今日も頑張ってね~」

いつの日か子供も意識するようになり、そこを通る度におじちゃんに毎日手を降るようになる。

おじちゃんも仕事で忙しくしてても気付いたら手だけは振ってくれる。

おじちゃんがこっちを向いていなくても子供は「おっちゃバイバイ~」と言いながら手を振る。


いつからかそんなやり取りが日課になっていた。


今日も土砂降りの中保育園に送っていくが、屋外でお弁当を売っているため今日はお店は開いてない。

晴れの日しかやってないのだから、当然なのだが。


パパ「今日はおっちゃんいないねぇ~」

子供「おっちゃいない」



いつもは割烹着の様な服で仕事をしてる為気付かなかったけど、土砂降りの中で傘をさしたおっちゃんがいた。


真横を通るまで気付かなかったけど、おっちゃんから声をかけてきてくれた。

おっちゃん「おはよう。」

子供「おぉよう」←おはよう

パパ「おはようございます。今日はこの天気だからお店休みなんですね」


今まで毎日の様にすれ違っていたが、立ち止まって話すのは初めてだ。


おっちゃん「おじちゃん今日でここからいなくなっちゃうんだ。今まで毎日手を振ってくれてありがとうね」


パパ「えっ、そうなんですね。こちらこそいつも子供に気にかけてくれて有り難う御座います」


おっちゃん「お父さんもありがとね。お嬢ちゃん次会った時は大きくなってるんだろうね。元気でやってね。」


パパ「有り難う御座います。ゆの寂しくなっちゃうね。おっちゃんにタッチしな」


土砂降りだったのでタッチしてバイバイ。
少し進んで振り返るとおっちゃんはそこにはもういなかった。




おっちゃんはわざわざ仕事もないのに、子供にさよならの挨拶する為に土砂降りの中待っててくれたんだ。



いつぶりだろう。
人の温かさに触れたのは。
特別親しい仲ではないのに寂しくなった。


次は何処に行くのか聞いておけば良かった。
最後に子供を抱っこさせてあげれば良かった。
今思うと体でも壊して辞めるのかな・・・
色々と考えてしまうが答はもう分からない。


子供は暫くはそこを通る度におっちゃんを探すだろう。


子供が運んでくれた小さな小さな出会いと別れに今日は心をうたれました。


また何処かで必ず何処かで会いたいと思ったのは俺の記憶の中では初めてかもしれない。