京都橘の目標は常にマーチングコンテスト全国大会金賞である。これは他の強豪校も同じだろう。長い歴史を振り返ると常に山と谷の繰り返しになっている。

 

最初の山は1990年代後半の宮コーチに引っ張られていた時代。残念ながら当時の映像が無いのでどのようなスタイルなのかは分からない、と思っていたら3出の時の映像があった。特別演奏会なのでコンテストとは別なのか単純なフォーメーションだがスタイルは完全なカレッジスタイル、早稲田摂陵みたいだ。

 

 

宮コーチの急逝の後、谷底に入り漸くダンス付きsing×3を2005年に開発、2008年、2009年に全国大会金賞でピークを迎える。この後、音楽レベルが上がってきたことからダンスを外すべきとの意見対立が出てきたが、これを纏め上げて次のスタイルにつなげたのが2014年度でOGの中で「近代橘の礎を築いた」とまで評価されて翌2015年の全国大会金賞に繋がっている。

 

これらを担っていたのはDMを中心とする構成係で常に「先輩たちに負けない、さらに上を行くもの」を考え挑戦してきた。毎年のマーチングコンテストを見ていると「ここは前とちがう」とか「こんなことやるか!!」と言う箇所が幾度となく出てくる。

中には審査員に対して

「これはどう?」とか

「こんなんも出来るんやけれど」

と言った挑戦的なものが含まれており、きっと点数にはならないと思えるその遊び心がオールドファンにはたまらない。

しかし何度も見ているとそれぞれに基本的なパターンと言うのがありその範囲でのチャレンジと言う言い方もできる。

 

2020年は過酷な年だった、日本全国が新型コロナという奇怪なものに脅されて自粛の嵐。橘の部活も6月になって再開できたが、あらゆる本番が中止となり10月のメリディアンマーチングフェスタと定期演奏会のみとなった。

そんな中でskyAが動画での大会を催した(と思われる)、正式な大会ではないので演奏時間も8分ありメンバーも4人がコロナで欠場するも94人と全員参加だと思われる。

DMが途中でトロンボーンを持つというホラッチャ先輩以来のシーンも出てくる。

 

 

投票形式なので当然1位なのだけれど過去の例と比べても最高の出来だと思う。流れるようなフォーメーションチェンジ、柏高校並のシンバル隊、そしてsingでのダイヤモンドカッターの動き等従来の橘の構成係だけ

では考えつかないような中身になっている。

 

この年新たにマーチングコーチに就任した島コーチの提案だっただろう。現役時代はドラムを叩いており、所謂ステップとは無関係なので構成係の経験は無いはず。早くからアメリカのDCIというマーチングスタイルに興味を持っていて実際にそこでの経験を積んで帰ってきた。それを橘に早く伝えたいという思いは強かっただろう。

 

この辺の所を橘OGブログで見つけた

 

エェ🧸ノ🏝Coachも付かはって‼︎

他所の釜の飯どころか‼︎Σ੧(❛□❛✿)💦💦💦

他国のDinnerゃLunchゃBreakfast迄💦

取らはった方ゃから🙋🏻‍♀️

ご自身の音楽性の追求の為に💫

在学当時からの❤️でぇ‼︎

ゃから🙋🏻‍♀️ほんまに❤️

❤️雰囲気↗︎ょーなったゃろな💫

 

一方受ける方の部員達も必死だっただ。少なくなった練習時間をこのプログラムにかけたに違いない。どん底にあった時に一筋の光を見たかもしれない。残された本番に悔いを残さないため、限られた練習時間に全身全霊を込めた。その成果がひしひしと感じられる最高のプログラムに仕上がった。間違いなく全国大会金賞と言ってよいと思う。

最高!!

 

と同時に、ポツポツと欠けた所にコロナで出場出来なかった部員たちの無念さをも感じてしまう。悔しかっただろうな。

 

現役時代に

「お先真っ暗やーー」とか

「時代が来たー」

の迷文句を吐いた島コーチだがこの年のスタイルを原型にして新しい橘スタイルを作り上げ、3年連続金賞をもたらしてくれた。

 

新しい橘の時代がきた。

その基礎を作ったのがコロナ氷河期を耐えてくれた117期だ。

「REACHI THE PEAK」

へのスタートとなった117期には最高の金賞をあげたい。